JALグも最終利益65%減、コロナで打撃-19年度業績
JALグループは4月30日、2020年3月期(19年4月1日~20年3月31日)の通期連結業績を発表した。売上高は今年に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響などにより、前年比5.1%減の1兆4112億3000万円と前年を割り込み、各利益も営業利益が42.9%減の1006億3200万円、経常利益が38.0%減の1025億7100万円、純利益が64.6%減の534億700万円と大きく減少した。同社は22日に、1月末に発表した通期予想を下方修正したところ(関連記事)。
第3四半期までの業績は、売上高についてはゴールデンウィークに10連休があったものの、米中貿易摩擦の影響などもあり前年並みで推移。利益面は羽田新路線の増加に伴う先行投資などにより、いずれの項目も2桁減で推移していた。しかし第4四半期については営業損失195億円を計上。ANAホールディングスの営業損失580億円超に比べれば小幅ではあったものの、12年の再上場後では初めて、四半期の営業赤字を計上した。
なお、営業利益については19年度から航空部品などの償却方法を変更したため、変更しなかった場合の通年の営業利益は38.3%減の1086億円と、下げ幅は若干小さくなる。
国際線の旅客収入は10.3%減の4762億円で、有償旅客数は9.3%減の827万7000人。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は1.1%減、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は6.2%減で、有償座席利用率は4.2ポイント減の77.1%となった。単価は1.0%減の5万7530円で、イールドは4.4%減の11.4円、ユニットレベニューは9.3%減の8.8円。なお、第4四半期だけを見ると旅客収入は33.9%減の840億円。単価は1.2%減の5万5727円、イールドは10.3%減の10.4円、ユニットレベニューは27.7%減の6.7円となった。
国内線の旅客収入は2.6%減の5146億円で、有償旅客数は3.1%減の3378万3000人。ASKは0.2%増となった一方、RPKは2.9%増となり、有償座席利用率は2.2ポイント減の70.3%となった。単価は0.6%増の1万5233円、イールドは0.3%増の20.3円、ユニットレベニューは2.8%減の14.2円。なお、第4四半期だけを見ると旅客収入は19.6%減の991億円で、単価は1.6%増の1万4892円、イールドは2.6%増の19.8円、ユニットレベニューは16.4%減の11.5円。
そのほか、旅行事業のジャルパックの売上高は6.9%減の約1696億円だった。
30日にインターネット上で開催した決算発表会見で取締役専務執行役員財務・経理本部長の菊山英樹氏は、今期の通期予想については合理的な算出が不可能として、ANAホールディングスと同様に開示を見送ることを説明。現在は国際線の95%程度、国内線の70%程度を運休しており、感染拡大の収束の時期も見通せないことから、複数の需要回復のシナリオを想定し、資金調達やコスト削減に務めていることを伝えた。
なお、社員については一時帰休などをさせておらず、マンパワーはこれまでに実施できなかった社員教育や、外注していた整備のインソーシングに宛てていることを明らかにした。雇用については維持する方針という。