コロナ拡大、旅行業界もあと1週間が「正念場」-東医大・濱田氏

深刻なのは感染症より「恐怖症」
正しい知識と現状把握を

濱田氏  東京医科大学教授で、本誌に「海外医療通信」を提供する東京医科大学病院渡航者医療センターの部長を務める濱田篤郎氏はこのほど本誌の取材に応え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に関する今後の見通しや、海外・国内を問わず旅行控えの機運が高まるなか、日本の旅行業界が取るべき対応について語った。濱田氏は海外旅行者・出張者などの健康を維持する「渡航医学」の日本におけるパイオニアの1人で、日本渡航医学会の理事や東京都感染症対策アドバイザーなども務める。インタビューは2月28日に実施した。

-新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大している現在の国内の状況をどのように見ていますか

濱田篤郎氏(以下敬称略) 政府も指摘している通りこの1、2週間が、国内発生早期から蔓延期へと進行させないための瀬戸際で、正念場だと思う。今のところ国内では、街中を歩いていて感染するようなことはないが、とはいえ半月先の状況はわからない。国民が感染拡大の抑制に協力し、うまく行けば5月頃には収束の目処が見えるかもしれないが、蔓延期になって感染者数が激増すれば、収束は夏以降に伸びることになる。

 IOC(国際オリンピック委員会)の委員が「5月中に東京五輪の開催可否を判断」と語ったのも同じことで、発生源である中国の状況などを参考にしながら「感染拡大が深刻化しなければ、日本ではその辺りで収束が見える」と考えているのだと思う。開催を1年後に延期することを提案している委員もいると聞くが、私もこの状況が長引くようであれば、早めに延期を決めて、じっくりと拡大を抑え込んだ方が良いのではと思う。

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