香港最新レポート、「拍子抜け」するほど平常、新施設の開業も
「アート&カルチャー」中心に投資着々
2月からはメディア露出など強化
回復に向け取り組み始まる、優待ツアーは300名超参加
デモが始まってからの期間はすでに半年以上に及んでおり、そのなかで今回滞在したのはたった5日間。その間に何もなかったからといって今後も何もないと断言することはできない。旅行会社がお客様にそのような案内をすることも不可能だろう。
しかし、今回の視察で、HKTBが用意している「香港ツーリストライブマップ」などを活用すれば無事に過ごせることが体感できたことも事実。消費者が抱くイメージを突然大きく変えることは困難だが、冒頭述べたように香港は日本のアウトバウンドにとって極めて重要な市場であり、我々旅行業界が率先して回復に貢献する意志が重要だろう。
サプライヤー側では、すでに昨年からリカバリーの取り組みが始まっている。一つの例が、キャセイホリデージャパンによる旅行業界向けの優待パッケージツアー。すでに設定期間が終了した第2弾ではエコノミークラス利用の場合、ペニンシュラやローズウッド、インターコンチネンタル、シャングリ・ラ、フォーシーズンズ、マンダリンオリエンタルなどの名だたるブランドのホテルに2泊して往復5万円程度からと値ごろ感のある設定となっていた。
キャセイホリデージャパンによると、第1弾と第2弾で合わせて300名以上の業界関係者が現地を訪問。184名から回答を得た参加者アンケートでは、今回の旅行に不安を感じていたかを聞いた質問に対して「とても不安だった」の回答が11.9%、「ある程度不安だった」が55.2%であったが、旅行後には不安が「解消された」は41.2%、「ある程度解消された」は32.7%とほぼ逆転している。
また、旅行後の知人への推奨意向も「ぜひ勧めたい」が47.5%、「ある程度勧めたい」が33.9%で合計80.4%となり、さらに「香港旅行をお客様にお勧めできますか」の質問に対しても79.1%が「はい」と回答。キャセイホリデージャパンでは、2月7日から3月10日までを対象とするモニターツアーの第3弾も設定予定という。
このほかホテルの取り組みとしては、例えばペニンシュラ香港ではJTBの「黄パンフレット」で2泊以上で朝食無料、特製チョコレートの提供、ハーバールームまたはスイート3泊以上で空港からホテルへの送迎無料などの特典を提供するなどプロモーションを実施中だ。
ホテルへ問い合わせ復調の兆しも
このほか、滞在中に取材に応じた別ホテルの担当者も、現地で身の危険を感じた場面はまったくないとしたうえで、夏ごろには回復の兆しをつかむべく「できることを粛々と」進めていくとコメント。年明けからは、団体や個人客の問い合わせも動き始めた印象という。
旧正月後の動向は不透明と指摘する声もあるものの、目下の最大の課題は「現地の実情と報道などを通して見聞きする印象とのギャップ」。ただ、HKTBによると、11月11日からの1週間にテレビでデモ関連の話題が取り上げられた回数が144回であったのに対し、12月9日からの1週間では29回に激減。ソーシャルメディアへの投稿も、11月中旬には1日あたり7万5000回を数えていたものの12月15日には5000回に減っているところ。
HKTBとしてはこうしたなかで2月以降、現地の平常さを伝えられるメディア露出の強化やインフルエンサーの活用を含めて取り組みを強化して状況の打破をめざしていく方針だ。