AIで航空券とホテルの料金変動を予測-春山佳久氏率いるatta
新機能で「検索の一歩手前」のユーザーを獲得
元スカイスキャナー日本代表が見据える世界
春山 旅行者には一切課金しない。一般的なメタサーチと同様に、ユーザーが「atta」を経由して予約サイトにアクセスし、予約が成立すればそのウェブサイトが我々に成果報酬として手数料を支払う。
春山 そのような問い合わせは確かにあり、例えばイベントの会場施設から、イベント開催時の周辺の宿泊需要の予測に関する問い合わせがあったり、自治体から宿泊税の検討材料として、宿泊料金の動向に関するデータを求められたりしている。ただし現在は、メタサーチの開発にリソースを割かなくてはならない段階で、コンサルティングなどに取り組むにはまだ早いと見ている。
春山 勝算についてはいくつかの考え方がある。まずは、「最安値を見つけた」と思ったユーザーに「実はもっと安くなる可能性があります」と提案できる現在の強みを活かす方向で前進する。また、アプリのUIについては改善して磨き上げる余地があるので、それが実現できれば成長できる、という考え方もある。
もう1つは11月29日に新機能として、どこに行くかを決めていないユーザーの渡航先探しをアシストする「航空券どこでも検索機能」を追加した。ユーザーが設定した出発地と日程をもとに、航空券の料金が安い順に渡航先をリスト化して提案するもので、目的地から航空券を探す従来の検索方法に加えて、日程と予算感から新たな候補地を発掘することができるようになった。
すでにお気に入りの予約サイトがあり、リピートしているような旅行者を引き込むことは難しい。だからこそ、日程を決めて「さあ検索しよう」と思う、その一歩手前の段階にいるユーザーにアプローチできるようになれば、大きな強みになる。
春山 当初は、リアルタイムの値動きなどに基づくフレッシュな情報をプッシュ通知することを想定していたので、まずはアプリのみをリリースした。しかしウェブサイトでの展開も計画しており、一部の機能に関しては年内に実現させる予定だ。最安値の情報をウェブサイトでも閲覧できるようにし、予約についてはアプリ経由でお願いするような仕組みを考えている。
春山 OTAになることは考えていない。ただ、スカイスキャナーの「ダイレクトブッキング」ようにメタサーチ内でトランザクションを行い、それによって成約率を上げる取り組みなどは進めたい。そのほか、ホテルチェーンの直販サイトとの提携も考えていて、ある程度の規模を持った会社から始めていきたいと思う。
春山 今年1月に2億円を調達したが、それを上回る額の資金調達について、間もなく発表できる見通しだ。また、来年の秋頃には単月での黒字化を実現したいと考えている。
今後はユーザーをさらに増やして、早ければ3年後にでも、アジアを代表するメタサーチになりたい。課題はマーケティングで、効果的なプロモーション方法は国ごとで全く異なる。また、自社ブランドで入っていきやすい国と難しい国があるので、後者については裏方として、ホワイトレーベルで検索エンジンを提供することなども考えている。