KLM、今後のカギは環境対応、鉄道も推奨-100周年でCEO来日
KLMオランダ航空(KL)は10月10日、7日に創立100周年を迎えたことを機に来日した、代表取締役社長兼CEOのピーター・エルバース氏による記者会見を開催した。エルバース氏は、KLが設立時から同じ名称で存続している航空会社では世界で最も長い歴史を持つことをアピールするとともに、「過去の業績だけで将来の成功が約束されることはない」ともコメント。今後の100年間も現在のポジションを維持するには、さらなるデジタル化の推進に加えて、地球環境の持続可能性に対する取り組みの強化が不可欠であると主張した。
このうち地球環境の持続可能性についてKLは、環境先進国の1つとして知られるオランダの航空会社らしく、創立100周年の100日前に当たる6月29日に「FLY RESPONSIBLY(責任ある航行)」というスローガンを打ち出したところ。航空産業の持続的発展に向けたもので、エルダース氏は「世界で最も歴史ある航空会社だからこそ、環境に与える影響について考えることは当然」と語り、他の航空会社に先駆けた取り組みを強化する考えを示した。
エルバース氏はこの日、今後は500キロメートル以下の短距離路線に関しては鉄道会社などと連携し、フライト以外の移動方法を視野に入れた路線計画を策定することを説明。来年3月からは週5便を運航中のアムステルダム/ブリュッセル線のうち1便を減らし、スキポール空港の地下から出発する高速鉄道「タリス」の乗車券をKL便と同様に販売するとした。
バイオ燃料の活用については、ロサンゼルスにあるバイオ燃料プラントに続いて、22年にオランダ国内で新たなプラントを設けることを計画。同社は欧州の航空会社では唯一、大陸間の定期便でバイオ燃料を使用しているが、新たなプラントの完成後は日本路線でもバイオ燃料の使用を検討する可能性があるという。
使用機材については、V字型の新型旅客機「FLYING-V」を開発中のデルフト工科大学を支援しているところで、同機は独特な形状により空気抵抗が少ないことから、燃料の使用量を現在の使用量から約2割減らすことができる見込み。座席数はA350型機と同じ314席で、実用は2040年代から50年代にかけてとなる予定。
なお、欧米では陸上交通などで代替可能な短距離の移動に航空便を使用することに対して「Flying Shame」という言葉が聞かれるようになっている一方、日本での議論は活発化していないが、エルバース氏はこのことについて「日本は欧米に比べて高速鉄道の普及が大幅に進んでいる」と評価し、状況は欧米諸国とはやや異なるとの見方を示した。
1951年以来、68年間に渡って定期便を運航している日本については、グローバル戦略においても最重要マーケットの1つと考えていることを改めて強調。KLは10月末からの冬ダイヤでは、引き続き成田、関空/アムステルダム線をそれぞれ週7便で運航する。