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観光庁、20年度概算要求は8.4%増の771億円-国際交流で新事業

  • 2019年8月28日

 観光庁は2020年度の予算概算要求で、今年度予算比8.4%増の770億9900万円を要求した。大きな柱は2本で、今年1月に徴収を開始した国際観光旅客税(出国税)を財源とする「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」が7%増の520億円、一般財源による「観光先進国の実現に向けた観光施策の着実な実施」が21%増の209億8700万円。政府目標である20年度の訪日外国人旅行者数4000万人と消費額8兆円の達成に向け、訪日プロモーションなど即効性が期待できる事業の増額をはかる。そのほか、復興枠として25%減の33億9500万円を要求する。

 出国税を充てる「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」については、18年度の日本人出国者数を約2000万人、訪日外国人旅行者数を約3200万人として要求額を決定。使途の基本方針に基づき、19年度と同様に「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」など3分野に予算を投じる。個別の施策への配分については今後、財務省などと検討を進める。アウトバウンド振興に関しては、今年7月に開設した「ツアーセーフティーネット」による旅行者の安全確保に向けた取り組みに、引き続き予算配分を求める考え。

 既存事業を中心とし、一般財源を充てる「観光先進国の実現に向けた観光施策の着実な実施」は、昨年と同じ3項目で構成。1つ目の「戦略的な訪日プロモーションの実施と観光産業の機関産業化」は30%増の126億7400万円で、このうち「戦略的な訪日プロモーションの実施」に30%増の117億5100万円を割り当て、伸び率の鈍化が見られる東アジアのテコ入れなどに注力する。そのほか「MICE誘致の促進」に99%増の3億1100万円を要求し、インセンティブ旅行の需要獲得やIRに関する対応に充てる考え。

 また、アウトバウンド関連では新規事業として「教育旅行を通じた青少年の国際交流の促進」に2000万円を要求。教育旅行の参加生徒数に大きな開きが生まれている中国などとの、バランスの取れた相互交流の拡大に向け、官民による協議体を設置するとともに、諸外国との協議の実施や国内における普及活動などにも取り組む。

 2つ目の「観光資源を活用した地域への誘客の促進」には9%増の15億9000万円を要望。新規事業として「観光地域づくり法人(DMO)による宿泊施設等と連携したデータ収集・分析事業」に1億6000万円を求める。3本目の柱の「訪日外国人旅行者の受入環境の向上」は10%増の60億2300万円。そのほか「観光統計の整備」に7%増の7億円を要求する。

 税制改正については、訪日客向けの消費税免税制度のさらなる拡充に向け、“自動販売機の免税化”を要望。化粧品や時計など比較的高額な商品を扱う自販機が登場していることを受け、パスポート写真と顔写真を照合する機器を設置するなどして、従業員を介さずに免税販売手続きを実施できる場合は、免税店の許可要件とされてきた人員の配置を不要にすることを求める。

 組織・定員要求では、訪日客に災害発生時の安全確保のための情報を提供する「外客安全対策官」のポストを国際観光課に設け、地方運輸局をあわせて25名程度の人員確保をめざすという。