女性の活躍推進は働き方改革そのもの-経営フォーラムから

HIS・JTB・資生堂の担当者が取組事例を紹介
女性社員が長期的に能力を発揮するには

女性のための「なでしこフォーラム」開催-JTB

高崎氏  続いて、JTBで働き方改革とダイバーシティ推進を担当する執行役員の高崎邦子氏(高ははしご高、崎はたつざき)が登壇。2018年4月に経営体制を再編したJTB グループが取り組む「カルチャー改革」について説明した。現在のJTBグループは女性社員が63%を占め、管理職における女性の比率は課長職が41%、部長職が27%、役員が5.7%となっている。

 JTB は「ソリューションビジネス」への転換に向けて、グループの社員1人ひとりが意識を改革する「カルチャー改革」を進めているところ。その柱となるのが「働き方」「評価マネジメント」「ダイバーシティ」「キャリア」「コミュニケーション」の5つで、ダイバーシティの推進については「わかりやすい女性の活躍から始めているが、そこから先の、社員1人ひとりの多様性を組織の向上力に活かしていくことに注力している」と高崎氏は話す。

 ダイバーシティの推進においては、全国の175ヶ所の拠点に「ダイバーシティ推進委員会」を設置し、ボトムアップの取り組みが進むよう環境を整備。そのほか、社員の意識調査をもとにグループ各社のダイバーシティ推進度などを数値化するとともに可視化しているという。

分科会の様子  高崎氏は、調査において「どの役職にまでなりたいか」との問いに対し、女性は「そのままでいい」と回答した人が非常に多かったことを説明。「私に上位職はできない」「もっと勉強してから」など、「女性ならではの奥ゆかしい気持ち」が結果として現れてしまっているとの見方を示した。あわせて、男性には「この仕事を女性に任せたら負担になるのではないか」というアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の壁があると分析した。

 これらの結果などから、JTBグループは女性の活躍推進策として、これまでに全国の9ヶ所で女性社員のための「なでしこフォーラム」を開催。高崎氏は、特に育児休暇中の女性向けのフォーラムが盛況だったことを説明し「育休中は会社からのコンタクトがないと不安なので、会社は『待っているから戻ってきて』と意思を伝えることが大事」と強調した。そのほか「営業職の女性は、支店では同性の先輩が少なくても、JTBグループ全体なら500人以上の同じ女性の営業職がいる。相談できるような横のつながりを持ってもらえる」と語った。