LINE、比較検索で旅行事業参入、19年取扱高1000億円へ
LINEは6月28日、毎年恒例の事業戦略発表会「LINE CONFERENCE 2018」を開催し、新たに開始するサービスとして「LINEトラベル」を発表するとともに、提供を開始した。国内の月間アクティブユーザー数が7500万人に上る人気コミュニケーションアプリ「LINE」において、海外および国内旅行の比較検索を可能にするもので、まずは宿泊施設から開始。10月には航空券、12月には国内外のツアーに対象を拡大する。概要について説明した執行役員O2O事業担当の藤井英雄氏は、19年度の目標として流通総額1000億円を掲げた。
同社は2011年に「LINE」の提供を開始し、現在は「LINE」を入口に生活関連サービスのすべてを提供する「スマートポータル戦略」を掲げて事業を拡大しているところ。昨年には「LINE」をすべてのショッピングの入口とするコンセプト「LINE Commerce gateway」のもと、「LINEショッピング」とフードデリバリーサービスの「LINEデリマ」の2つのサービスを開始している。これらに加えて「LINEトラベル」を新たなショッピング関連事業の柱とする。
同社によれば「LINEトラベル」は国内最大級の旅行比較検索サービスとなる見込みで、当初はエクスペディア、Booking.com、Trip.com(Ctrip)、JTB、楽天トラベル、一休などと接続。今後は検索対象を拡大し、年内には250以上の旅行会社や航空会社の比較検索を可能にするという。
「LINEトラベル」はアプリの追加インストールなどは不要で、「LINE」でのトーク中などに直接アクセスすることができるため、利便性が高いという。「LINEショッピング」などと同様、積極的な機能改善やコンテンツ拡充を進める方針で、「LINEトラベル」の公式アカウントからユーザー向けに観光地の情報なども発信する予定。情報コンテンツについては旅行番組などとのコラボレーションも計画する。
▽旅行前から後まで一気通貫、タビナカ提案に自信
藤井氏はプレゼンテーションで、旅行前の意欲喚起や予約、旅行中の現地アクティビティや食事などの提案、旅行中・後の写真や情報のシェアなどに「LINEトラベル」ですべて関与していく意欲を説明。「タビマエ・タビナカ・タビアトのサービスはこれまで断片的に存在していたが、シームレスにつなぐユーザー体験を提供する」と構想を語った。
このうち「タビナカ」のサービスについては「マーケットは非常に大きいが、参入できる会社が少ない」との見方を示した上で、同社が障壁となっている位置情報取得の面で強みを持つことをアピール。効果的なプッシュ通知などが可能であることを示した。晴天時に限らず、雨天の場合も想定したアクティビティの提案などもおこなうという。