旅行業の「女性活躍」、当事者の語る課題とは?-TPCがセミナー開催

  • 2018年5月9日

社内外の「仕組み」改善を
女性の意識改革も必要

女性の活躍を阻害する要因とは?

トラベルハーモニー代表取締役の田窪氏

 「女性の活躍を阻害している要因」のテーマでは、やはり「出産・育児」という意見が多かったほか、「男性の育児不参加」「男性管理職の女性軽視」「残業の多さ」という意見も出された。

 出産育児の経験がある勅使河原氏は、「いろいろな生き方がある」としたうえで、「個人的には、ずっと家の中にいるよりも、社会の一員であることが必要だった」と振り返るとともに、その経験から「育児も仕事も100%をめざさなくていい。50%でもOKだという心構えが大切ではないか」と提言した。

 他の3人は、出産育児を支える社会や会社の仕組みについて言及。「それ自体が阻害要因ではなく、それをサポートしてもらえていないところに不満があるのではないか」(白井氏)、「仕事を優先できない女性社員をサポートする体制を会社も国も作るべき」(桶川氏)、「男性のサポートがなければ、女性は活躍できない。男性の意識を改革することが大切では」(田窪氏)とそれぞれ主張した。

 パネリストの意見を受けて、モデレーターの原氏は、育児休暇は制度上2年あるが、「(男女に限らず)職場復帰したときに仕事が変わり、働くモチベーションが下がるところにも問題はある」と話し、会社として働く意欲を維持させていく必要性にも言及した。


女性社員の意識改革も必要

セミナーは参加者からの意見をもとに進められた

 女性管理職から見た「女性社員の意識の問題点」についても議論が展開。勅使河原氏は「女性には責任を負いたくないという意識が強いのでは」と問題提起したほか、田窪氏も「結婚に逃げるという気持ちがあるのではないか。権利を主張するなら、責任も伴うはず」と指摘した。

 また、白井氏は「会社の中で自分の意見を言えていない」と述べ、桶川氏は「批判はするが、意見は言わないことが多い。自分の意見についてはしっかりと考え欲しい」と厳しい意見を披露。モデレーターの原氏も、保育園不足や育児をする男性に対するフレックス勤務など社会制度が整っていないなか、「女性が主張しないと変わらない」と付け加えた。