旅行業の「女性活躍」、当事者の語る課題とは?-TPCがセミナー開催
社内外の「仕組み」改善を
女性の意識改革も必要
海外旅行関連素材の共同仕入れ機構のトラベル・パーツ・センター(TPC)が4月17日、「もっと女性も活躍できる旅行会社とは?」をテーマに「TPC上期セミナー」を開催した。政府が女性管理職の割合を2030年までに30%に引き上げる目標を掲げているなか、旅行業界における女性の働き方について、TPC会員会社で力を発揮する女性4人が議論を展開した。
勅使河原晃子氏 シイ.エイ.エヌ代表取締役社長
田窪ふみ子氏 トラベルハーモニー代表取締役
桶川友里恵氏 アサヒトラベルインターナショナル営業部課長
白井恵美子氏 東日観光法人第三営業部係長
・モデレーター
原優二氏 風の旅行社代表取締役
国の目標に対し、「管理職=女性の活躍なのか」と問題提起
モデレーターの原氏はまず、各機関による女性管理職に関する調査を紹介。帝国データバンクの調査によると、2017年の女性管理職の割合は、前年比0.3ポイント増の6.9%にとどまり、女性管理職がいない企業は全体の49.2%にものぼる。また、各国際機関の調査でも、日本の女性管理職の比率は軒並み下位レベルになっているのが実態だと説明した。
このデータを前提に、パネルディスカッションでは、「女性の活躍とは?」「女性が活躍できる職場とは?」「女性の活躍を阻害しているものとは?」などのテーマについて、参加者からの意見をもとに、4人が議論を進めた。
このなかで、女性の活躍に必要なこととして、参加者からは「女性が活躍できる多様な仕事が必要」「男女同一賃金」「出産育児休暇を取得しやすい雰囲気」「専門職としての活躍」などの意見が挙げられた。これを踏まえ、アサヒトラベルの桶川氏は「そもそも管理職=女性の活躍なのか」と問題提起。「いろいろなパターンに合わせた活躍の仕方はある」と述べる一方、女性の意識の改革も必要だとし、「やりたいことをやるだけではダメ。社会の一員としての責務もある。やりたくないことでも、それをやることでスキルアップにつながる」との持論を展開した。
また、トラベルハーモニーの田窪氏は「女性活躍を議論すること自体が平等ではない証拠。男女を意識しないのがいい職場」だと主張。シイ.エイ.エヌの勅使河原氏は、自身の経験から「仕事をしながら自分の能力を開発し、自分の足で歩くことが女性の活躍につながる」とし、他人にも自分にも甘えないことの大切を訴えた。