スカンジナビアCEO、羽田枠獲得の際は「成田から新路線」
来日中のSASグループCEOのリカード・グスタフソン氏は4月24日、本誌の単独取材に応え、2020年までに予定されている羽田の国際線発着枠拡大において、スカンジナビア航空(SK)が発着枠を獲得できた際には、週7便で運航中の成田/コペンハーゲン線をそのまま羽田/コペンハーゲン線に移行し、新たに成田/ストックホルム線を開設する計画を明らかにした。同路線は夏ダイヤはデイリーで、冬ダイヤについては夏ダイヤよりも少ない便数で運航する考え。「近年の双方向の旅行者増」を受けて、成田線を維持しながら羽田線も運航したいという。
SKは近年、折に触れて羽田の国際線発着枠の獲得に向けた意欲を表明しているところ。グスタフソン氏は「発着枠については、国土交通省が決定すること」と述べた上で、同社が1951年以来、東日本大震災の発生直後も含めて欠かさず日本路線の運航を継続していることをアピールし、「日本路線には長い歴史とコミットメントがあり、羽田への就航を機にプレゼンスを拡大したい。成田線も運航し続ける」と強調した。
なお、グスタフソン氏によれば、これら2路線の運航計画を公にしたのは今回のインタビューが初めて。日本では近年に開催した記者会見などに関して、羽田の発着枠を獲得した際には成田線を運休する可能性を報じられたりもしているが、SKでは「成田線を運休することを意図して説明したものではなかった」としている。
グスタフソン氏は羽田線を開設できた際には、同じスターアライアンスに加盟する全日空(NH)との協力を強化し、レジャー・ビジネスともに地方からの需要を取り込む考えを説明。欧州からの訪日外国人旅行者の地方への送客にも取り組むとした。成田/ストックホルム線については「ストックホルムはスウェーデンの首都であり、北欧最大の都市だが、日本からの直行便は開設されていない」と述べた上で、ビジネス・レジャーともに需要を取り込めるとの見方を示した。
同社によれば成田/コペンハーゲン線の現在のロードファクターは年平均で90%近くと好調。また、日本発・欧州発の比率は、かつては7対3で日本発が多かったが、近年は訪日外国人旅行者の増加により、5対5となりバランスが取れているという。
グスタフソン氏は今後の機材計画については、来年末から受領を開始するA350-900型機を、現在はA340-330型機で運航している成田/コペンハーゲン線に最優先で投入する考えを説明。羽田/コペンハーゲン線が実現した際も同型機で運航し、成田/ストックホルム線については中型ワイドボディ機のA330-300型機を導入するとした。
▽NDCは「進むべき正しい方向」、GDS流通チャージは「市場を注視」
グスタフソン氏はそのほか、国際航空運送協会(IATA)が導入を推進するNDC(New Distribution Capability)についても言及し、「デジタル化により航空各社は、プロダクトやサービスの詳細や違いなどを、より透明性を高めてエンドユーザーに伝えることができる」とコメント。「航空業界が進むべき正しい方向」と必要性を強調し、SKにおいてはNDCに対応した予約システムの構築を進め、20年までには完成させる計画を示した。
ルフトハンザグループなどがGDSでの予約・発券に対して手数料の徴収を開始していることについては「現段階では、我々も徴収するか否かについては決定していない」と説明。「市場の動きを注視し、旅行会社とも意見交換をしている段階で、今すぐに決断する必要性はないと考えている」と慎重な姿勢を示した。
日本市場におけるNDCの浸透については「日本では旅行会社が重要な販売チャネルであり、彼らとの関係には価値があると考えている」と述べた上で、「世間においては『NDCの導入が今までのビジネスモデルを破壊してしまうのでは』との意見もあるが、旅行会社の脅威になるとは考えていない。旅行会社も導入を支持し、グロ-バルスタンダードを作り上げることで、消費者にとっての旅行会社の価値は高まるだろう」と見通しを示した。