地域が稼げる訪日旅行の構築を-JATA経営フォーラム

海外旅行のノウハウをインバウンドにも活用
旅行会社が関われるビジネス循環を

分科会の様子  日本旅行業協会(JATA)は、先ごろ主催した「JATA経営フォーラム2018」で、分科会「新しい時代のインバウンドビジネスを考える~地方創生に寄与するインバウンドビジネス~」を開催した。2017年の訪日外国人旅行者数が2800万人を超え、政府目標である20年の4000万人も射程に入るなか、国は訪日外国人の地方への分散化を進めている。分科会では、地域がインバウンドで稼ぐことで創生していくための実例やアイデアについて議論が展開された。

・モデレーター
松本大学名誉教授 佐藤博康氏
・パネリスト
観光庁審議官 瓦林康人氏
気仙沼商工会議所会頭、男山本店代表取締役 菅原昭彦氏
日本旅行業協会副会長、日本旅行代表取締役会長 丸尾和明氏


多様なターゲットに向けてマーケットインの発想を

観光庁の瓦林氏  分科会ではまず、観光庁審議官の瓦林康人氏が同庁の取り組みを紹介し、インバウンドによる地方創生について4つの視点から説明した。1つ目が官民連携で、瓦林氏は「小売、エンターテイメント、イベントなどを含め、地方創生のための好ましい連携環境が整いつつある」と評価。そのうえで、2つ目の視点として、国として地方への分散化を推進しているなか、「DMOなど地方での体制づくりが大きな課題」と指摘した。

 3つ目の視点として、「プロダクトアウトではなくマーケットインの発想」を提案。さまざまなターゲットが存在するなか、それぞれの旅行パターンを汲み取りながら、商品開発や素材の磨き上げを進めていく必要性を強調した。さらに、4つ目として、「インバウンド戦略での取り組みが国内旅行市場の転機になりうる」とした上で、「マーケットインの発想は日本人向けでも同じことではないか」とコメントした。

 このほか、観光庁は訪日プロモーションの抜本的な改革を進めていることも説明。「これまでは日本ファンへのリーチに注力していたが、今後は日本にまだ行ったことのない消費者向けにプロモーションを強化していく」と話し、日本政府観光局(JNTO)とともに新たなグローバルキャンペーンを開始したことを紹介した。