星野リゾート、民泊参入「検討中」-報道受けコメント

代表の星野佳路氏(昨年10月に撮影)  星野リゾートは1月22日、18日に一部の新聞社が同社の民泊事業参入を断定的に報じたことを受けて、公式サイトで見解を発表した。「民泊事業については検討しているが、具体的な計画については決定しておらず参入は未定」としており、具体的な方針は決まり次第、正式に発表するという。

 信濃毎日新聞は1月18日に「星野リゾートが『民泊』参入へ 軽井沢の別荘を活用」と題し、「星野リゾートが『民泊』事業に参入する方針であることが17日分かった」と報道。星野リゾートが軽井沢で展開する別荘管理事業において、別荘のオーナーの希望に応じて民泊物件としての運営管理や仲介を手がけることを想定しているとしていた。また、日本経済新聞も同日付で、星野リゾートが民泊事業への参入を検討している旨を報じていた。

 本誌の取材に応じた星野リゾートの広報担当は「6月の住宅宿泊事業法案(民泊新法)の施行を見据え、民泊市場について研究している。民泊サービスについては賛成」とコメント。公式サイトに発表した見解でも、「民泊を初めとするシェアリングエコノミーは、新しい旅行市場を創造し、地方の活性化に貢献する可能性がある」としている。

 一方で、星野リゾートの本社がある長野県北佐久郡軽井沢町は「清らかな環境と善良なる風俗を守る」ことを理由に、町内全域での民泊の禁止を求めているところ。こうした意見を踏まえ、長野県は昨年12月に民泊関連の条例案を発表し、「別荘地など住居専用地域に準ずる地域のうち、市町村の意見等を踏まえ、規則で定める区域」については、一部の期間について民泊を制限するよう求めている。

 長野県は1月18日まで条例案に関する意見を募集しており、これを受けて星野リゾートは民泊サービスに賛成する意見書を提出。同社広報によれば、軽井沢には使われないまま管理が行き届いていない別荘が多く、別荘地の環境劣化につながるおそれがあることから「別荘の手入れの1つの手段として、ルールに基づいた民泊で活用することを提案した」という。

 なお、今回の報道について本誌の取材に答えたJTBは「我々は百戦錬磨と訪日客向けの民泊事業で提携している。星野リゾートとの協業については(民泊参入に関する)今後の展開がどうなるのか次第」とコメント。現時点で民泊に関して目立ったアクションのないエイチ・アイ・エス(HIS)は「民泊を扱うか否かはしばらく先の話」と答えた。

 楽天トラベルは「我々は楽天LIFULL STAYの国内民泊宿泊施設を取り扱う計画で、それ以外に現時点でコメントできることはない」と説明。楽天LIFULL STAYは3月15日から、6月に開設するウェブサイト「Vacation STAY(仮称)」に掲載する国内民泊物件の登録を受け付ける予定で、9月を目処に楽天トラベルに民泊物件の在庫を供給するという。