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JATA、再び北方領土へ、商品造成準備で2度目の調査

  • 2017年10月25日

北海道と北方領土(出典:外務省ウェブサイト)  日本旅行業協会(JATA)は10月26日から31日にかけて、今夏に続き北方領土調査を実施する。政府が派遣する共同経済活動のための追加の官民調査団に会員会社から6名、事務局から1名が加わり、国後島・択捉島・色丹島の3島を再訪。政府主導により、2国間交流が活発化するなか、将来的に日本人の観光が可能になった場合にツアー造成などに迅速に対応できるよう、改めて観光資源やインフラなどの状況を確認する。JATAは「商品造成に必要なことに関して、現地の関係者と意見交換を進めたい」としている。JATAの団長はワールド航空サービス代表取締役社長の松本佳晴氏が務める。

 6月27日から7月1日にかけて派遣された第1回の官民調査団には、旅行業界を代表してJATA理事長の志村格氏が参加。帰国後の定例会見では「そもそも観光地ではないので、道路や宿泊施設などは整備されていないが、火山や温泉など自然が豊富。エコツーリズムやSITのポテンシャルがある」「一定の条件下で参加者を募集するツアーや、根室など道東からの日帰りクルーズなどにより、少しずつ交流を深めることが現実的では」などと好意的にコメントしている。

 今回の官民調査団は、9月に開催された日露首脳会談および外相会談で「優先的に取り組む事業」に挙げられた「島の特性に応じたツアーの開発」や「海産物の共同増養殖プロジェクト」など5つのプロジェクトについて調査。参加企業名や旅程などは明らかにされていないが、60名から70名程度が参加する。帰国後には北海道で記者会見を開催する予定。団長は1回目と同じく、内閣総理大臣補佐官の長谷川榮一氏が務める。

 日本政府は北方領土問題が解決するまでは、国民には北方領土に入域しないよう要請しているところ。しかし近年の日露首脳会談により、今後は2国間交流が活発化することで、観光をめぐる状況は大きく変化する可能性がある。本誌の取材に応えた外務省は「ツアーをいつから実施できるか、査証の問題をどうするかなどについて、双方の法的立場を害さない形で進展をめざしたい」とコメント。外務大臣の河野太郎氏は10月20日の定例会見で今回の調査団派遣に関して説明するとともに、北方領土問題については「双方で受入可能な解決策を見いだす未来志向の発想で、平和条約の締結を実現したい」と述べている。

署名式後の記念撮影  なお、日本とロシアの観光当局は今年9月に、2月に合意した「2019年までの共同活動プログラム」の改正覚書に署名したところ。近年の日露首脳会談や、今年1月の双方のビザ取得要件緩和などにより活発化している観光交流の加速に向け、19年の年間交流人口25万人の目標に加えて、新たな中間目標として「18年に22万人」をめざすことを付け加えている。18年についてはロシアでサッカーのワールドカップ大会が予定されているほか、両国は互いに「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」と定めている。

 観光庁によれば15年の訪露日本人旅行者数は約8万7000人で、訪日ロシア人旅行者数は5万5000人。合計では14万人強となる。今年の1月から8月までについては、ビザ取得要件の緩和などが功を奏し、訪露日本人旅行者は16年比で2割増、訪日ロシア人旅行者は4割増で推移しているという。なお、ロシア連邦観光局はこのほど、同国のメトロポール・グループの東京支社に業務を委託するかたちで、日本でも観光客誘致のためのマーケティング活動を開始している。