JATA、新財源の検討について見解、訪日ESTAなど要望
日本旅行業協会(JATA)は10月10日に臨時の記者会見を開催し、理事長の志村格氏が5日の「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」で委員などに示した、新たな観光財源に関するJATAの見解や要望について説明した。同検討会は国内外の旅行者の受益と負担のあり方や、訪日旅行への影響を勘案した上で「出国税」などの導入やその使途について検討するもの。
志村氏は冒頭で、5日の会合には事務局長の越智良典氏とともに出席し、10分から15分程度の説明をおこなったことを報告。旅行者にとってさらなる負担が増せば「特に日本人の需要減退が大いに懸念される」と主張したことを伝えた。また、出入国に関して負担を求める場合、対象は訪日外国人旅行者のみとすること、その際には米国の電子渡航認証制度(ESTA)に倣った制度を導入することなどを提案したという。
記者団の質問に答えた志村氏はその一方で、新たな財源の確保の必要性については「わからなくはない」と理解を示し、「出国税」など日本人を含む旅行者に負担を求めることについても、条件つきで「必ずしも反対ではない」と説明。新たな財源が確保された暁には、訪日旅行の振興だけでなく日本人の海外旅行の振興にも予算を割くべきと訴えた。
具体的には、日本人旅行者の安全確保、若者の海外旅行促進、双方向交流の活発化などに充当すべきと列挙。このうち旅行者の安全確保については「外務省の『たびレジ』と旅行会社のシステム連携の強化など、安全確保に向けた使途については最もコンセンサスが得やすいのでは」との見方を示した。
そのほかには、会合では出国旅客に負担を求める場合は「定率性」よりも「定額制」の方が明快であること、代行徴収者となる旅行会社のコスト増に配慮することなどを要望。また、新財源の確保を機に観光庁を「観光省」に格上げし、省庁横断的な観光政策を推進することなども求めたという。観光庁の検討会は今後、論点の整理とともに使途などに関する本格的な議論を開始する予定で、取りまとめた具体策は来年度の税制改正大綱に盛り込む考え。