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欧米豪からの誘客強化で訪日消費8兆円へ-ツーリズムEXPO

広域連携などで成功へ
カギは日本らしさ、地域らしさ

パネルディスカッションの様子  「ツーリズムEXPOジャパン2017」では今年も、海外旅行、国内旅行、訪日旅行のそれぞれをテーマにしたシンポジウムが開催された。このうち訪日旅行では「欧米豪市場からの誘客強化に向けて」をテーマに議論。20年の年間訪日外国人旅行消費額8兆円の目標に向けて、消費額の大きな欧米豪から旅行者の取り込みは欠かせないことから、誘致に成功している自治体や民間事業者、インバウンド大国フランスの観光局からパネリストが登壇し、意見交換をおこなった。

パネリスト
フランス観光開発機構ジェネラル・マネージャー クリスチャン・マンテイ氏
高山市役所海外戦略部長 丸山永二氏
信州白馬八方温泉しろうま荘支配人 丸山俊郎氏
モデレーター
日本政府観光局(JNTO)グローバルマーケティング部長 蜷川彰氏


JNTO、欧米豪市場の重要性を強調
フランスは「富裕層に高い潜在需要」

モデレーターを務めたJNTOの蜷川氏  シンポジウムでは議論に先立ち、モデレーターで日本政府観光局(JNTO)グローバルマーケティング部長の蜷川彰氏が訪日市場の現状を説明。16年の訪日外国人旅行消費額は前年比7.8%増の3兆7476億円で、市場別の1人あたりの消費額はオーストラリアが1位になったことを紹介した。その上で、政府が目標に掲げる20年までの8兆円、30年までの15兆円を達成するためには、「消費額が大きく、旅行者数でも伸びしろがある欧米豪の市場開拓が欠かせない」と強調した。

 蜷川氏によると、年間のヨーロッパ発の海外旅行者は約6億人。このうち英独仏発は約2億人で、そのうち約1200万人がアジアを訪れている。たとえば、16年の英国の海外旅行市場を見ると、タイへの旅行者が90万人、インドが69万人、中国が58万人となっているなか、日本はまだ20万人に過ぎないという。

 フランス観光開発機構ジェネラル・マネージャーのクリスチャン・マンテイ氏は、訪仏旅行市場の現状について紹介。16年はテロの影響で旅行者数は前年比2.2%減になったものの、欧州域内から6450万人、欧州外から1810万人、合計8260万人が訪れ、引き続き世界一の旅行市場となっていることを説明した。観光はフランスにとって重要な産業であり、GDPに占める割合は7.3%で、自動車産業の2.7%を大きく上回っているという。

 アニメなどのサブカルチャーの人気により、フランスの若者にとって日本は人気のデスティネーションとなっているが、マンテイ氏はフランスで活躍する日本人の建築家、芸術家、ファッションデザイナー、シェフなども多いことを説明。「日本に敬意を払っているハイエンド層は多い」と語り、ラグジュアリー層の潜在需要は高いとした。