トップインタビュー:ドイツ観光局アジア・オーストラリア地区統括局長の西山氏
30年までに日本人150万泊へ
旅行会社は「FITにできないツアーを」
今年の5月に、ドイツ観光局ディレクター・マーケティングから、日本人初のアジア・オースラリア地区統括局長に就任した西山晃氏。統括局長として韓国やインド、オーストラリアなどの支局と意見交換をおこなうとともに、レイカート・ケッテルハーケ氏が務めていた日本支局長も兼務し、引き続き日本人旅行者の誘客強化に取り組んでいる。テロ事件の影響で需要が低迷する欧州旅行の活性化もめざすという同氏に、今後の戦略やプロモーション方針などを伺った。
-日本人初の局長として、どのように活動を進めるお考えですか
西山晃氏(以下敬称略) まずお伝えしたいのが、日本支局長が日本人になっても、ドイツ観光局における日本支局のステータスは変わらないということ。ドイツ観光局は10年以上前から在外支局の“ローカライズ”を実施してきており、日本支局はかなり遅い方だ。すでに南東ヨーロッパ地区統括局長や中国支局長にはドイツ人以外が就任している。今回の人事もそうした中長期的な戦略の一環であり、日本市場の状況が悪いからといった理由によるものではない。
日本人宿泊数は、ここ数年は欧州のテロ事件の影響で前年を下回り続けており、2016年も前年比11.8%減の106万9613泊と落ち込んでいる。しかし、今年の1月から5月までの累計は9.7%増の42万2666泊で、5月単月では22.1%増の10万8999泊となるなど、需要が戻りつつあるのを実感している。航空便の予約状況などを見ると、今年は2桁増は難しいかもしれないが、それなりのところまで戻ると思っている。
我々は30年に日本人宿泊数を150万泊に引き上げる目標を掲げている。昨年と比較するとかなり大きな数字に思えるかもしれないが、日本人宿泊数はこれまで、例年120万泊から130万泊程度で推移してきた。大きな問題が起こらなければ達成できるだろう。
今年のプロモーションテーマは「ルターによる宗教改革500周年」だが、日本人にはあまり馴染みがないテーマなので、関係のある世界遺産や、同時代の絵画や音楽など、日本人が好む素材を訴求している。闇雲に本国の指針にあわせるのではなく、市場の傾向に適したプロモーションを今後も実施していきたい。
18年は日本人からの関心が高い「食」がテーマで、BtoBについては、各地域の特徴的な料理を紹介し、例えばベルリンはビールを使ったカクテル「ベルリーナー・ヴァイセ」などを訴求する。BtoCでは、インフルエンサーの方々に「現地で見つけた美味しいもの」として食の魅力をアピールしてもらう予定だ。