バルセロナの繁華街に車両突入、13人死亡、欧州旅行に打撃か
スペインのバルセロナで現地時間8月17日の17時頃、観光客で賑わう繁華街のランブラス通りで歩行者に対する車両突入テロ事件が発生し、現地の報道によれば観光客を含む少なくとも13人が死亡、約100人が負傷した。その約8時間後には同じカタルーニャ州のリゾート地のカンブリスでも同様の事件が起きて1人が死亡。外務省は18日付で注意喚起のスポット情報を発出するとともに、旅行者には現場付近などに近寄らないこと、やむを得ずテロの標的となりやすい政府施設などを訪れる際には周囲の状況に注意を払うこと、「たびレジ」への登録などを呼びかけている。なお今回の事件については、イスラム過激派組織のISILが犯行声明を発出した。
欧州でのテロ事件が連続していることを受け、外務省は同日付のスポット情報として「欧州でのテロ等に対する注意喚起(再々更新)」も発出。今後もさらなるテロ事件の発生の可能性があること、夏期には各地でスポーツ大会や音楽フェスティバルなどのイベントが開催されており、それらをねらったテロや、警備が手薄になった他の都市でのテロ事件が考えられることから、旅行者に注意を呼びかけている。
欧州で近年発生したテロ事件については、主に英国やフランス、ドイツ、ベルギーなどが被害を受けてきたが、今年の4月以降は北欧のスウェーデンやロシアにも拡大。それでもスペインやイタリアなどの南欧地域では事件は発生しておらず、旅行会社も送客を続けることができていた。しかし今後のテロ事件の拡大や、報道の過熱などによっては、欧州旅行にさらなる影響が出ることが考えられる。日本からスペインへの旅行者数は、2015年には前年比26.6%増の60万1000人を記録。2016年も21.3%減ながら47.4万人が訪れている。
▽旅行各社はツアーを継続、影響については「わからない」
本誌の取材に応じたジェイティービー(JTB)、エイチ・アイ・エス(HIS)、阪急交通社は、18日午後までに現地の旅行者全員の無事を確認。消費者からは、目立った問い合わせや予約のキャンセルはないという。ツアーは今後も通常通り催行し、キャンセル料も収受する方針。引き続き現地の営業所などから最新の情報の収集に務めるとともに、これからスペインを訪問する旅行者に対しては、外務省の海外安全情報などを提供し、「たびレジ」への登録を促すという。
各社ともに、今回の事件が今後の欧州旅行に与える影響については「現時点ではわからない」と回答した。このうちJTBは「今後のメディアの報道次第」とコメントし、HISは6月にロンドン市内でテロ事件が発生した際も影響は軽微だったことについて説明した上で「15年11月のパリ同時多発テロ事件のように影響が大きくなるイメージはない」とした。
なお、現地に支店を持つJTBによれば、18日午後の時点でサグラダ・ファミリアなどの観光地は通常通り見学可能。HISによればランブラス通りについては徒歩観光は可能で、店舗も開店する予定という。最寄りの地下鉄駅は閉鎖する予定。