オンライン旅行市場の競争激化、国内各社が意見交換-WIT Japan
海外OTAの拡大に危機感
各社の強み活かし成長へ
AIなどの取組も強化
訪日はローカライズも重要
パネルディスカッションでは、モデレーターを務めたAgoda.comビジネス開発担当副社長のティモシー・ヒューズ氏が、海外OTAが力を入れているAIやチャット機能、アプリケーションの開発について、国内各社に取り組みの状況を聞いた。これに対して楽天の高野氏は、AIについてはビッグデータを活用するための人的投資に取り組んでおり、今後も強化する方針を説明。なお、高橋氏はモデレーターの柴田氏が「1000億円を投資できるとしたら何に投資するのか」と各社に尋ねた質問でも、AIと回答した。
一休の榊氏も「AIを活用し、検索結果をいかにパーソナル化するかに取り組んでいる」と話した。AIによるチャット機能については、「音声をテキスト化できるが、意味を理解して対応できるところまではいっていない。将来のためのデータを収集している段階」と語った。
アプリケーションについては、高野氏が「自分が宿泊施設の経営者だったらアプリは取り組まない」とコメント。開発やその後のメンテナンスにコストがかかることを理由として挙げ、宿泊施設に向けては「ウェブサイトや、事業そのものに投資するほうが有益では」との考えを語った。
ディスカッションの後半には、Reluxを運営するLoco Partners代表取締役社長の篠塚孝哉氏と、KDDIジェネラルマネージャーの大野貴広氏がパネリストとして加わった。篠塚氏は、2年ほど前からReluxが訪日外国人の国内宿泊の予約を受け付けており、急激に伸びていることを説明。現在の全取扱額の15%は訪日外国人の利用によるもので、会員の2割が外国人と伝えた。
訪日旅行者の取り込みについては他のOTAも取り組んでいるが、取扱額に占める割合はi.JTBが10%、リクルートライフスタイル、楽天、一休がともに5%以下とまだまだ少ない。篠塚氏は他社よりも比率が高い理由として、「Booking.comやエクスペディアは単価の安いミドルマーケットに注力しているが、我々はハイエンドな市場に特化しているため、競合相手はあまりいない」と説明。さらに「各国の文化やトレンドなどを研究した上で、アプリやソーシャルメディア、チャットサービスなどを消費者に提供している」とアピールし、「ここまでローカライズに力を入れているOTAはないのでは」と自信を示した。