ASEAN10ヶ国、設立50周年で観光に注力-ATFレポート

ASEANを1つの観光デスティネーションに
クルーズ振興にも注力

10ヶ国でクルーズ振興、 日本もセミナー実施

13ヶ国合同の記者会見  ATF期間中にはASEAN10ヶ国による大臣会合と、さらに日中韓の3ヶ国を加えた13ヶ国による大臣会合を実施し、それぞれ共同声明を発表した。10ヶ国の共同声明では、急速に変化する市場において、デジタルマーケティングの活用、観光インフラの整備、観光素材の開発などの重要性を強調した。

 さらに、35年までに年間約450万人のクルーズ旅行者が東南アジアを訪問するとの予測を受けて、クルーズ旅行の発展に向け協力する姿勢を示した。今後は、域内の港湾開発の促進とクルーズ振興のための共同宣言をまとめるという。

 13ヶ国による共同声明では、13ヶ国を訪問した16年の外国人旅行者数が10.5%増の1億1760万人になる見通しであることを踏まえ、持続可能な観光の実現に向けて日中韓の3ヶ国に協力を求めた。日本については、昨年9月の時点で「ツーリズムEXPOジャパン」で日本アセアンセンターが「Visit ASEAN@50:Golden Celebration」を紹介したことなどに触れ、感謝の意を示した。

記者会見ではシンガポール通商産業大臣のS・イスワラン氏などが質疑応答に応じた  13ヶ国による大臣会合には、日本から国土交通大臣政務官の藤井比早之氏や観光庁審議官の瓦林康人氏などが出席。本誌の取材に応えた瓦林氏は、「訪日旅行者を増やすだけでなく、双方向で交流人口を増やすことが大切。アウトバウンドについてもASEANと協力していきたい」と話した。今後は日本アセアンセンターを通じて、ASEAN地域の観光人材の育成などに協力するほか、クルーズの振興にも取り組む考え。

海事局のクルーズセミナーの様子  国土交通省海事局は、TRAVEXに参加した旅行会社などを対象に、クルーズセミナーを開催。国土交通大臣政務官の藤井比早之氏はクルーズ旅行の魅力を語り、海事局外航課外航海運事業調整官の古田健一氏は、モデルルートとして北海道から九州までの主な港をめぐる縦断ルートや、屋久島や那覇などを訪れる世界遺産をテーマにしたルート、鉄道とクルーズを組み合わせたルートなどを紹介した。また、日本人のASEAN地域におけるクルーズ旅行の傾向についても解説した。

 クルーズバケーション代表取締役社長の木島榮子氏は、日本発着クルーズ商品の特色について説明。日本船社が1泊2日や2泊3日などの短期クルーズを実施していることに触れ、「日本ツアーの旅程内に組み込んでみては」と呼びかけた。