ASEAN10ヶ国、設立50周年で観光に注力-ATFレポート
ASEANを1つの観光デスティネーションに
クルーズ振興にも注力
東南アジア諸国連合(ASEAN)10ヶ国による「アセアン・ツーリズム・フォーラム(ATF)」がこのほどシンガポールで開催された。各国の観光大臣による会議や、旅行商談会「TRAVEX」からなるイベントで、観光大臣による会議には日本、中国、韓国の関係者も出席。「TRAVEX」にはセラー660名、バイヤー323名が参加した。ASEANは設立50周年にあたる今年、共同キャンペーン「Visit ASEAN@50:Golden Celebration」を実施するなど、観光に関する取り組みを強化する方針。会期中には10ヶ国による共同声明も発表した。
17年の旅行者数目標は1億2000万人
50のモデルルートで周遊促進
オープニング・ガラパーティーでは、シンガポール首相のリー・シェンロン氏が、昨年1月に発表していた「Visit ASEAN@50:Golden Celebration」の開始を宣言。リー氏は「ASEANを1つのデスティネーションとしてアピールするため、このキャンペーンを開始できることを嬉しく思う」と話した。
同キャンペーンは10ヶ国が「50のフェスティバル」と「50の思い出に残る旅行体験」を域内外で紹介し、文化や歴史、自然、人々のホスピタリティをアピールすることで、ASEANならではの魅力や多様性などを訴えるもの。旅行者のターゲットはASEAN各国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、欧州、中東、北米など。17年のASEAN内外から10ヶ国への旅行者数の目標は16年比4.1%増の1億2100万人、旅行消費額は14年比10.6%増の830億米ドルに設定した。加えて、1回の旅行における2ヶ国以上の訪問、滞在日数を6日から7日に引き上げることもめざすとした。
リー氏は「観光は、各国が協力し合うことでWin-Winとなり、経済を成長させ、雇用を創出し、人々をより緊密に結びつけることができる」と連携の意義を説明。目標達成のためには、空港や港湾、道路などのインフラの整備、国家間の連携強化、観光産業に携わる人材の育成が必要であることも強調した。
キャンペーンではASEAN加盟国2ヶ国以上を訪問する50のモデルツアーも作成し、旅行会社などに活用を呼びかける。日本ではこのほど、日本アセアンセンターが公式ウェブサイトで日本語版のモデルツアー一覧を公開。さまざまな旅行者のニーズに対応できる3泊4日から26泊27日までのツアーを紹介している。旅行会社にはキャンペーンロゴの使用も促しており、すでに数社から利用申請があったという。
日本アセアンセンターによれば、16年にASEAN10ヶ国を訪問した外国人旅行者数(暫定値)は10.3%増の1億1617万1567人。このうち日本人は2.0%増の477万9327人だった。数値目標などは設定していないが、同センターは日本においてもASEAN設立50周年をアピールするとともに、各国の大使館や観光局と共同でセミナーなどを実施する予定だ。