てるみくらぶが破産、負債151億円、8万人超
▽JATAは弁済保証の申請手続開始-制度見直し求める声も
てるみくらぶが正会員として所属しているJATAは、3月27日に公式ウェブサイトで同社の営業停止を発表するとともに、債権者に対して弁済業務保証金制度の案内を開始した。広報室によれば午後7時の時点で約1万4000人が登録し、今後は6月中旬頃に認証の申出に関する書類を発送する。弁済手続の終了は、申し込みから8ヶ月から9ヶ月程度先になる見通し。JATAは今回の件について公式のコメントは発表しておらず、広報室は「弁済に関する業務を粛々とこなすことが我々の役割」とのみコメントしている。
広報室によれば、同協会にはその他にも、てるみくらぶの利用者からの問い合わせが集中。弁済関連以外の質問なども含めて、午後7時の時点で約450件の電話、総ページ数にして500ページから600ページに及ぶファックス、130件の来訪があったという。JATAは対応のための専門スタッフを複数名採用したほか、事務所内には来訪者のための特別窓口も設けた。
なお、JATAはこの日、同協会の本部が入居する全日通霞が関ビルで予定通り「『JATA重大事故支援システム』リスクマネジメントセミナー」を開催。会場の参加者からは「現在の弁済補償制度では旅行者に十分な金額は支払われない。弁済額などを含めて制度の見直しが必要では」「経営が悪化している旅行会社に対する監査などについて、検討が必要になってくるのでは」といった声が聞かれた。
観光庁によれば、08年以降にJATAの保証金制度を利用して弁済をおこなった旅行会社は17社で、そのうち15社は100%を弁済。しかし今回のてるみくらぶの倒産は、負債額151億円に対して弁済限度額が1億2000万円と大きな乖離があることから、同庁は今後については「負債額が大きい場合などに備えて、さらなる消費者保護のために必要な制度があれば、検討していきたい」としている。
ただし弁済限度額については、上げれば営業保証金の額も上がり旅行会社の負担が増えることや、消費者保護を考えずに気軽に倒産するモラルハザードが増加する可能性もあることから、同庁は検討にあたっては慎重な姿勢も見せている。