日本とロシア、3年で交流25万人へ-両政府が共同プログラム

  • 2017年3月9日

 観光庁とロシア連邦観光局はこのほど、モスクワで第4回の「日露観光交流促進協議会」を開催し、観光交流拡大のための「共同活動プログラム」に署名した。対象期間は2017年から19年までで、19年の年間交流人口の目標として25万人を掲げる。観光庁によれば15年の訪露日本人旅行数は8万7280人、訪日ロシア人旅行者数(推計値)は5万4800人で、3年間で8割近い増加をめざすことになる。

 今回の協議会は、昨年5月にソチで開催された日露首脳会談で合意された8項目の経済協力における「人材交流の拡大」の取り組みの一環として、7年ぶりに開催。両国の官民の関係者が出席し、署名は観光庁審議官の瓦林康人氏と、ロシア連邦観光局長のオレグ・サフォノフ氏がおこなった。

 プログラムは分野別に7つのテーマで構成。このうち「観光交流の発展分野」では交流人口の目標に加えて、両国の観光当局のコンタクトの活発化、観光交流に関する手続きの簡素化、日本の地方部とロシアの極東地域への送客強化、持続的な観光プロモーションなどについて協力することを明記した。

 「観光商品の促進分野」では、ノウハウや情報などの交換、インターネットなどを活用した情報提供、専門家やジャーナリストの交流促進、双方が開催する観光博や行事への関係者の参加促進について協働することを確認。「観光業のための人材の育成および技能の向上の分野」については、両国の組織間における情報の交換や、専門家の交流を維持するとした。

 「観光業における法的分野」では、ホテルの格付けなどサービスの質を監督する制度に関するデータや、国内法に関する情報を交換。「観光業における投資分野」では、投資プロジェクトに関する情報を交換するとともに、投資を実施している両国の事業者間の協力を促進することを記した。

 また「旅行者の権利の保護の分野」では、互いの国に滞在する旅行者の権利保護に向けて協力すること、非常事態の際に迅速かつ正確な情報提供をおこなうための体制を構築することを約束。そのほか国連世界観光機関(UNWTO)およびアジア太平洋経済協力(APEC)の枠組みにおける協力についても継続するとした。

 日露間における交流促進の動きが活発化するなか、日本政府観光局(JNTO)は昨年12月にモスクワ事務所を開所したところ。一方のロシア観光局は、現在は日本事務所を閉鎖しているが、日本旅行業協会(JATA)によれば再開の可能性について検討が進んでいるという。