国内旅行業況、16年4Qは1ポイント減-訪日も調査開始
日本旅行業協会(JATA)が11月4日から22日にかけて、会員573社を対象に実施した旅行市場動向調査で、2016年10月から12月までの3ヶ月間の国内旅行のDI値(※)はマイナス11ポイントとなり、前期(7月から9月)から1ポイント減、前回発表した見通しからは11ポイント減少した。ただし、旅行会社からはふっこう割の影響で九州に人気が集まったという声や、「広島カープやオバマ大統領訪問の影響で露出の増加した広島などが好調」との声が挙がったという。
業態別では、「ネット系旅行会社」が11ポイント増のマイナス33ポイント、「リテーラー2」が6ポイント増のマイナス3ポイントと増加。その他の業態は減少しており、最も減少したのは「リテーラー1」で18ポイント減のマイナス39ポイントとなった。
方面別では、九州がふっこう割の効果などで10ポイント増のマイナス26ポイントと最も増加。京阪神、山陽・山陰、四国は前年並みだった。その他の方面は前期を下回っており、なかでも北海道は17ポイント減のマイナス12ポイントでマイナスに転じた。このほか、静岡を含む伊豆・箱根は10ポイント減でマイナス27ポイントに。顧客層別では、教育が12ポイント増のマイナス4ポイントと最も伸長し、「招待・報奨」、60歳以上のシニア、一人旅も前期を上回った。「サークル・親睦」は前年並みのマイナス17ポイント。最も減少したのはファミリーで14ポイント減のマイナス19ポイントとなった。
17年1月から3月までの3ヶ月間については、国内旅行全体で2ポイント減のマイナス13ポイントを予想。旅行会社からは「ふっこう割が終わった後の九州地区の需要が未知数」とのコメントがあった。また、来年は「おんな城主直虎 大河ドラマ館」が浜松市に、レゴランドが名古屋市に開業するほか、滋賀県で「彦根城410年祭」などのイベントがあることから、中部エリアへの観光需要の増加に期待を示す声が挙がった。
業態別では「リテーラー1」が34ポイント増のマイナス5ポイント、「国内旅行ホールセラー」が28ポイント増のマイナス16ポイントと大きく改善。「インハウス」と「総合旅行会社」も増加する見込みだ。一方、「ネット系旅行会社」は17ポイント減のマイナス50ポイント、「リテーラー2」は14ポイント減のマイナス17ポイントを予想する。
方面別では奄美・沖縄が2ポイント増のマイナス1ポイント、関東が1ポイント増のマイナス17ポイント、静岡を含む伊豆・箱根が1ポイント増のマイナス26ポイントと増加。その他の方面は今期を下回る見通しで、特に東北は12ポイント減のマイナス38ポイントと2桁減に。顧客層別ではOLが2ポイント増のマイナス26ポイントと増加。その他は今期を下回る予想で、教育が20ポイント減のマイナス24ポイント、サークル・親睦が10ポイント減のマイナス27ポイントと2桁減する見通し。
なお、17年4月から6月までの3ヶ月間については、国内旅行全体で1ポイント減のマイナス12ポイントを見込む。
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※DI値は設問事項に対して「良い」「普通」「悪い」「取り扱いなし」の4つを用意し、集まった回答を数値化したもので、設問事項に対する全体的なトレンドを示す指標となる。すべての回答が「良い」の場合はプラス100。JATAの調査では、JATA会員会社にアンケートを実施し、業態、顧客別、方面別にDI値を算出している。