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日本のクルーズ振興、官民共同でルート形成を-運輸総合研究所

バラエティに富んだ客船で多様なコースを
旅行会社にチャーター促進呼びかけ

魅力的なルート作りで検討会設置を提言
旅行会社の役割が重要、教育に注力

鷲頭氏  鷲頭氏は調査の結果を踏まえ、日本のクルーズ市場の振興のためには「気軽にクルーズを楽しめる環境を作ることが必要」と強調。ただし、「欧米のように幅広い階層の人々が、自分の都合に合わせた日程で多様な選択肢からクルーズ商品を選ぶ状況になるためには相当時間がかかる」と語り、「1つ1つ着実な取り組みを進めていくことが必要」とした。

 提言では「魅力的なクルーズエリア/ルートづくり」「日本クルーズエリア/ルートの周知宣伝」「日本のクルーズマーケットの拡大」「日本船社・外国船社への働きかけ」「クルーズ人口の裾野の拡大」の5項目を必要な施策として挙げた。このうち、「魅力的なクルーズエリア/ルートづくり」について、鷲頭氏は離島やサンゴ礁などの美しい景観、季節限定のお祭りなど、日本には「クルーズ観光に適した観光素材が数多くある」としながらも、「良さが知られていても船の航行規制の問題や港湾施設のインフラが不十分な場所もある」と指摘。

 その上で、国の主導で地方自治体や旅行会社、国内外のクルーズ船社、港湾管理者、観光協会などからなる「クルーズ船寄港地検討会議(仮称)」を設置し、幅広い客層に向けテーマ性のあるクルーズルートを検討するよう提案した。さらに、国によるモデルルートの制定や、官民共同での客船の受入体制の整備も訴えた。

 「日本クルーズエリア/ルートの周知宣伝」では、クルーズエリアやルートのブランディングと官民一体での情報発信、ソーシャルメディアの活用などを提言。米国ではTVドラマ「ラブボート」効果でクルーズ市場が拡大したことから、映画やドラマの活用も提案した。

 「日本のクルーズマーケットの拡大」では、鷲頭氏が「日本のクルーズ市場の拡大のためには、多様なクルーズ旅行商品が販売される必要性がある」と語り、旅行会社の重要性を強調。旅行会社に対し、外国船社を活用したチャータークルーズのさらなる促進を呼びかけた。同氏は、「まずは市場規模に合わせた300人程度の客船を活用するのが現実的」と説明。チャーターを後押しするため、「旅行会社に商品造成のインセンティブが働くような、船会社とのモデル契約を関係者で検討すべきでは」と語った。

 さらに、旅行会社のスタッフの教育の必要性も触れ、日本外航客船協会(JOPA)による、旅行会社の社員を対象にしたクルーズアドバイザー認定制度の活用を訴えた。

 「クルーズ人口の裾野の拡大」では、家族連れや若者層へのアプローチを強化し、クルーズに親しんでもらうことが重要であることを強調。学校の修学旅行や課外授業などでクルーズを体験してもらうよう呼びかけた。「日本船社・外国船社への働きかけ」については、国内外のクルーズ船社からの問い合わせや要望にワンストップで対応できる窓口として、国、地方自治体、旅行会社などからなる「日本クルーズ振興機構(仮称)」の立ち上げを提言。国土交通省港湾局の「クルーズ振興のためのワンストップ窓口」の活用も視野に入れるよう提案した。