ロングステイ財団、国内は料金細分化など課題に-16年統計
国内外の長期滞在型観光の普及活動をおこなうロングステイ財団はこのほど、「ロングステイ調査統計2016」の発行にあわせて、都内で最新動向を紹介するメディア発表会を開催した。統計は財団が開催したセミナーやイベントの参加者へのアンケート結果を分析し、2015年時点での動向や、今後に向けた提言などをまとめたもの。
事業部の川嶋彩氏の説明によれば、15年のロングステイの推定人口は海外が0.1%増の1570万人で、国内は17.3%増の846万人となった。海外ロングステイのキーワードは「安・近・暖」で、特に東南アジアが人気。また、近年は休息以外にスポーツや芸術、病気の転地療養、ボランティア活動など、ライフスタイルの多様化に伴いさまざまな目的を持ったロングステイが増え、市場はさらなる広がりを見せているという。
国内ロングステイについては、アンケートの結果によると「手頃な期間の家賃制度がない」「ロングステイに適した滞在施設や情報がない」など、滞在施設に関する要望が多く挙がった。特に料金面に関する条件で「週単位・月単位の料金設定がほしい」「1部屋単位の料金設定がほしい」などの回答が多かったという。
川嶋氏は日本には海外のようなコンドミニアムやロングステイに適した施設が少ないことを紹介し、「日本で海外と同じ条件を求めることは難しい」と説明。その上で「泊食を分離した料金プランなどを用意することで、既存のホテルや旅館でも対応が可能では」と提案した。
そのほか、川嶋氏はロングステイの推進によって、生き甲斐作りによる健康寿命の延伸や、ワーク・ライフ・バランスの実現、受入環境の整備による地域経済への貢献などに期待ができることもアピールした。