「日本遺産」や国立公園で訪日客を地方に-ツーリズムEXPOより
文化財や自然を地方創生の鍵に
外国人目線で資源の磨き上げを
日本旅行業協会(JATA)の訪日旅行推進委員会は「ツーリズムEXPOジャパン2016」で、「JATAインバウンドシンポジウム~COOL JAPANの発掘でHOTな訪日旅行~」を開催した。東京オリンピックが開催される2020年に向けて訪日外国人旅行者の地方への送客が課題とされるなか、パネルディスカッションでは地方の観光資源として期待される「日本遺産」と国立公園について、関連省庁の担当者が紹介。続けてインドネシア、ドイツ、タイからのパネリストが、それぞれの目線で日本の魅力について語った。
パネリスト
文化庁文化財部文化財鑑査官 齊藤孝正氏
環境省自然環境局国立公園課長 岡本光之氏
インターカルチュラル・ネットワークス・ジャパン(INJカルチャーセンター)取締役兼インドネシア語主任講師 イワン・スティヤ・ブティ氏
JTBグローバルマーケティング&トラベル西日本営業部欧州担当 グレーベ・トーベン氏
ブロガー/レポーター/ライター/タイ語教師 パナーラット・キャット氏
松本大学名誉教授 佐藤博康氏
地域の「ストーリー」を日本遺産に認定
外国語での情報発信を
シンポジウムの冒頭では、文化庁文化財鑑査官の齊藤孝正氏が、今年4月に第1弾の認定をおこなった「日本遺産」について説明した。文化庁が定める日本遺産は、地域の歴史的建築物や祭事などの有形・無形文化財の背景にある文化や歴史を「ストーリー」として認定するもの。特定の文化財の保存を目的とせず、同庁はプロモーションなどソフト面のサポートに注力する。現在は四国のお遍路や和歌山県の捕鯨など37のストーリーを認定しており、2020年までに100程度の認定をめざす。
都内で東南アジア言語の教室を展開するインターカルチュラル・ネットワークス・ジャパン(INJカルチャーセンター)で取締役兼インドネシア語主任講師を務めるイワン・スティヤ・ブティ氏は、日本の文化財について「ソーシャルメディアなどを活用して多言語で発信することが重要」と意見を述べた。同氏は「来日前に日本の文化財について知る機会が極めて少なかった」と自身の経験を振り返り、来日前に得た情報の量によって、旅行時の文化遺産への興味の度合いが変化することを説明。