次代の"宿"人材育成-観光庁が和大と連携し講座(3) 宿泊経営戦略の議論

 3コマ目は、講座全体のメンター教員も務める琉球大学観光産業科学部の橋本俊作教授が担当、宿泊事業の経営戦略について星野リゾートの2施設を再生した戦略を事例にワークショップ形式で講義した。

 橋本さんは「商品をどう売るかが戦術、将来どうするかが戦略。経営資源は有限なので、経営戦略に従って選択と集中する」などと伝え、島根県玉造温泉の華仙亭有楽(現・星野リゾート界出雲)、北海道占冠村のアルファリゾートトマム(現・星野リゾートトマム)の事例をもとに、再生のための戦略と戦術をグループごとに考えさせた。

 有楽は、顧客ターゲットを団体、個人に絞られず収益が悪化した。あるグループは、出雲大社など周辺の観光資源を生かし、出会いを演出する合コンの開催など個人客、特に女性を重視した戦略を提案。別のグループは、あえて団体で勝負し、徹底したローコストオペレーションで、他にはない美味いものをつくり、旅行会社が喜ぶようにする戦略を発表した。

 トマムは、リゾート地が多い北海道の中で埋没していたことが課題。「競技スキー一本に絞る」「東アジアのファミリー客がターゲット」などのアイデアが出た。

 橋本さんは、コトラーの競争地位戦略の中で、小さな市場でトップを目指すニッチャーの戦略に注目するよう呼びかけ、社員のパワーを引き出すエンパワーメントを自社組織で重視していくよう呼びかけた。

 講座は、12月17日まであと4回開催される。


(16/11/01)


情報提供:トラベルニュース社