レストランのひらまつ、ホテル業に意欲-10年間で300億円めざす
東京に本社を置き、日本全国で多数の高級レストランを運営するひらまつはこのほど、都内で「ホテル事業説明会」を開き、今年から展開している同事業の現状と戦略を説明した。同社代表取締役社長の陣内孝也氏は、ホテル事業参入の理由について「レストラン企業としての事業展開の一環」と述べ、「創業者の平松博利会長が20年前から構想していた。レストラン企業として今までにはない独自のホテルブランドを構築し、今後はホテル事業を大きな柱としていきたい」と話した。
同社は7月15日、三重県志摩市の賢島に初の直営ホテル「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 賢島」をオープン。同ホテルは「ヨーロッパの旅館、滞在するレストラン」がコンセプトで、創業からの35年間で培ったひらまつの料理ともてなしを特徴とする。資産1億円以上の富裕層をターゲットにした全8室の高級ホテルで、宿泊料は2食付で1人1泊6万5000円から8万円まで。同社取締役の長谷川幸太郎氏によれば「7月と8月はほぼ満席。年末に向けて予約も埋まってきている」とのことで、好調さに手応えを感じているという。
ホテル業では後発ながら「最高の料理人による最高の料理を提供する」ことで、同エリアにある宿泊施設との差別化をはかる。長谷川氏によれば、地元の食材だけにこだわらず、通年で手に入らない伊勢海老などの高級食材は「独自のネットワークを活かして全国から調達して提供する」との考え。また、現在は原則として宿泊客のみがホテル内のレストランを利用できるが、今後は宿泊者以外にも対応していきたいという。
賢島に続き、10月27日には熱海の3400坪の土地に13室、12月27日には箱根仙石原の2000坪に17室のホテルをオープンする予定で、18年夏には沖縄の宜野座村に7000坪のリゾートホテルを計画している。陣内氏は「今後は12室程度のスモールラグジュアリーホテルを15軒から20軒程度オープンしてホテルブランドを確立した後、50室程度のリゾートホテルや都市型ホテルを造るのが目標。10年間でホテル事業の売上高として300億円をめざしたい」と抱負を述べた。
ひらまつは1982年に東京・西麻布でフランス料理店「ひらまつ亭」を開業。現在は「ひらまつ」「ASO」「ポール・ボキューズ」などのブランドで、イタリア料理店やカフェなども含めて33店舗を国内外で運営し、ブライダル、ワイン輸入、ケータリング事業も展開する。2001年にパリに出店した「レストランひらまつ サンルイアンリル」は日本人オーナーシェフの店として初めてミシュランの星を取得したことで知られる。