政府、新経済対策の補正予算案を閣議決定、訪日インフラ拡充へ

  • 2016年8月25日

 政府は8月24日、2日に発表した新たな経済対策の実施に向けた、一般会計総額3兆2869億円に上る2016年度第2次補正予算案を閣議決定した。「21世紀型のインフラ整備」や「一億総活躍社会の実現の加速」、地方への支援、震災からの復興などを柱とするもの。このうち国土交通省の予算は1兆2257億円で、観光関連ではクルーズ船の受入環境整備など「外国人観光客4000万人時代に向けたインフラ整備」に608億円を計上した。政府は今回の補正予算案を秋の臨時国会に提出し、早期成立をめざす考え。

 「外国人観光客4000万人時代に向けたインフラ整備」では、主な政策として「大型クルーズ船の受入環境改善」に165億9500万円を充てる。訪日客の急増に伴う大型クルーズ船の寄港増などに対応するため、港湾の岸壁の改良などを実施する。

 その他の交通インフラ関連では「羽田空港等の機能強化」に101億3900万円を割き、2020年に向けて空港処理能力を拡大。空港などにおける混雑解消に向けた「CIQ施設の拡張」には3億1300万円を、航空大学校の施設整備などのための「操縦士の戦略的確保・育成事業」には3億4600万円を充当する。

 鉄道関連では、訪日客などが安全で快適に移動できるよう、鉄道駅のバリアフリー化や地下鉄の新線建設などに53億円を計上。そのほか、訪日客のバス旅行でフェリーを活用するための実証調査に7800万円を充てる。

 受入環境の整備については、観光案内所や無料WiFi環境の整備など「訪日外国人旅行者受入基盤整備・加速化事業」に155億円、案内板の多言語化など「国営公園等のインバウンド対応」に50億900万円を充当。そのほか河川敷などの水辺空間の整備に21億6800万円を、アイヌ文化の復興に向けて北海道白老町に設けている国立民族共生公園などの整備に8億3400万円を充てる。

 プロモーション関連では、欧米豪や東アジアなどの市場に向けた「地方誘客のための緊急訪日プロモーション」に45億円を割く。旅行博への出展や、関係者の招請などの活動を強化する。

 「外国人観光客4000万人時代に向けたインフラ整備」以外の観光関連予算としては、自動車安全特別会計から2億4800万円を「軽井沢スキーバス事故を踏まえた安全対策」として計上。貸切バス事業者の安全情報管理システムの整備などを進める。また、東日本大震災復興特別会計から8億円を使用して訪日客の東北への送客増をはかる。