JOPA山口会長、クルーズ市場拡大に期待、旅行会社の教育強化

  • 2016年8月25日

JOPA新会長の山口氏  このほど日本外航客船協会(JOPA)の会長に就任した商船三井客船代表取締役社長の山口直彦氏は、8月25日に開催した業界誌向け会見で「モノより経験が重視される現代は、クルーズという旅行スタイルに合う時代。将来的にクルーズ人口は増えていくだろう」と見通しを語った。今後は前会長の小林求氏が示した活動方針を踏襲し、「クルーズアドバイザー認定制度」を通じた市場の発展や、船旅の魅力の発信と強化、安全運航や船舶保全などに向けた取り組みを進める方針だ。

 同氏は現在のクルーズを取り巻く状況について、「1990年代にはセミナーや団体旅行を中心に利用されていたクルーズが、今ではほとんどがレジャーで利用されている」と説明。今後のさらなるクルーズの浸透に向けては、クルーズ旅行のスペシャリストであるクルーズアドバイザーの数を「1万人にまで引き上げたい」と意気込みを示した。旅行会社の社員を対象にしたクルーズアドバイザー認定制度は「クルーズ・コンサルタント」と「クルーズ・マスター」の2段階で構成。JOPAのセミナーなどで専門知識を習得し、認定試験を経て資格を取得する。

 JOPAによれば現在のクルーズアドバイザーの数は6000人強で、毎年500人から600人増加しているという。山口氏は「1万人に到達するまでには8年以上かかるかもしれないが、業界にとっては非常に有意義なこと」と期待を示した。JOPAはそのほか、広報宣伝活動も重視していく方針で、船内見学会などの実施も継続する。

 山口氏は、増加している外国客船の日本への寄港や、日本発着クルーズについて「クルーズ商品の選択肢が増えたことで、日本市場にとっては良かったのではないか」と評価。JOPAの賛助会員には外国客船の日本支社やGSAなどが加盟していることを説明した上で、「CIQや安全運航などの面で協力し合い、業界を挙げて安全で質の高いクルーズ商品を提供したい」と語った。

 そのほかに同氏は、近年注目を集めている豪華列車の旅についても言及。「(クルーズ旅行との)相乗効果でマーケットの拡充に貢献するのでは」との見方を示し、往路をクルーズ、復路を鉄道で楽しむような旅行商品の成長に期待を示した。