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民泊サイトなど、早急な法整備を要望-WIT Japan

  • 2016年6月19日

パネルディスカッションの様子  このほど開催されたオンライン旅行業界の国際会議「Web in Travel(WIT)Japan & North Asia 2016」では、政府がルール作りに向けた検討を進めている「民泊サービス」についても意見交換がおこなわれた。パネルディスカッションには、Airbnbをはじめとする民泊予約サイトなど5社のパネリストが登壇。日本における民泊サービスの現状や今後の展望などについて意見を交換した。

 世界の193ヶ国でサービスを展開するAirbnbでインターナショナルビジネスデベロップメント・マネージングディレクターを務めるロニー・グリオン氏は、民泊サービスの認知度が欧州や米国、南米で非常に高い一方、アジアについては「まだ成長段階にある」と説明。その上で「世界中でインバウンドが最も伸びているのは日本、アウトバウンドが最も伸びているのは中国であり、アジアにおける民泊サービスのブームはもう始まっている」と語り、今後のさらなる市場の拡大に期待を示した。

 国内で民泊仲介事業を展開する「とまれる」の事業開発部マネージャーの小柳秀吉氏は、民泊がホテルや旅館と並ぶ宿泊施設とは見なされていない日本の現状について説明。「日本人は法律が作られていない『グレーゾーン』のサービスを利用することを躊躇する」と指摘し、法整備の重要性を強調した。

 不動産投資などをおこなうフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパンのマネージングディレクターである山本俊祐氏は、「アパートの空室などを活用して収入を得られるのであれば(民泊サービスは)良いと思うが、グレーゾーンで商売をおこなうのは難しい」とコメント。早期に法を整備する必要があるとの見方を示した。

 このほか、先般閣議決定された「規制改革実施計画」については小柳氏が賛同の意を表明し、今後の法整備については「サービスに関わる皆がきちんと経済的な利益を得られるもの」となるよう要望。「法が施行された暁には、一時の利益に走らず法を遵守し、業界全体で育っていかなければいけない」と語った。山本氏は同計画について「個人の住宅を利用するための規制緩和であり、不動産業者の持つ複数の物件の提供を前提とはしていない」との見方を示しながらも、「多客期などの客室不足の解消により、旅行者にとってはプラスになる」と述べた。

 ホテルや旅館など既存の宿泊施設との関わりについては、複数の参加者が「既存施設はある意味で競合になるかもしれないが、利用者の用途やターゲット層の違いですみ分けはできる」との考えをした。グリオン氏は、政府が掲げる20年の訪日外国人旅行者数4000万人の目標を踏まえて、「パイを奪い合うのではなく、目標に向けた成長のなかで共存していくことができるはず」と語った。