ドイツ、日本回復に向けプロモ強化、周辺国とも協力-GTM2016
都市と自然の組み合わせを訴求
今夏にはオーストリアやスイスとセミナーも
木組みの家が並ぶキュートな村クヴェトリンブルク
GTM2016の開催中には、周辺地域を訪問するプレストリップにも参加した。ホストシティーとなったマグデブルクから南へ車で1時間ほど、ハルツ山地の懐にひっそりと佇む「クヴェトリンブルク」は 木組みの家々(ファッハヴェルクハウス)が立ち並ぶ小さな村だ。そのロマネスク様式の風景が美しく現存していることから、1994年にユネスコ世界遺産に登録されたほか、日本旅行業界(JATA)の「ヨーロッパの美しい村30選」にも選ばれている。
小高い丘に立つ聖セルヴァティウス教会を中心に広がる旧市街は、コンパクトにまとまっており街歩きに最適。多彩な幾何学模様でデザインされた木組みの家々は、ピエト・モンドリアンの抽象絵画を彷彿とさせ、15世紀の遺物もとてもスタイリッシュだ。世界遺産に登録されているとはいえ、あまり観光地化されておらず、団体客が大型バスで押し寄せることはないため、ドイツのローカルな雰囲気も楽しめる。
ヨーロッパの村らしい石畳みの小路をぶらぶらしながら、木組みのレストランやカフェで一休み。長い歴史を持つビール醸造所やハンドメイドショップなど個人経営の店が多く、その土地らしいショッピング体験が楽しめるのも魅力だ。街歩きのハイライトの1つが、聖セルヴァティウス教会から俯瞰する旧市街。煉瓦色の屋根が連なる風景は1枚の上質な絵画のよう。街中の入り組んだ小路とは空気感が異なる「ヨーロッパの美しい村」がそこには広がる。
宗教改革の中心地、知的欲求がかき立てられるヴィッテンベルク
マルデブルク近郊には、もう1つ世界遺産がある。西へ車で1時間半ほどにある「ヴィッテンベルク」だ。ここは、宗教改革で有名なマルティン・ルターが神学部の教授として教鞭をとったところで、キリスト教史において極めて重要な町として世界中で知られている。観光のハイライトは、ルターの住居の1つであった建物を改修した「マルティン・ルター記念館」。宗教改革に関する展示では世界最大規模を誇るだけでなく、改革者ルターの人となりを知ることができる遺産も多い。
このほか、中世の面影を色濃く残す街中には、ルターの生家、洗礼を受けた聖ペトリと聖パウリ教会、ルター説教壇が残る聖アンドレアス教会、ヨーロッパでも珍しい石板聖書がある聖アネン教会など歴史的遺物が点在する。2017年は宗教改革500周年。キリスト教史においてだけでなく、世界史上の一大革命が起こった場所として、今後注目が高まりそうだ。
取材:山田友樹