民泊検討会、法整備へ議論開始-仲介サイトと自治体に要請文
観光庁と厚生労働省は4月15日、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の第8回会合を開催し、法整備が必要となる中期的な課題について本格的な検討を開始した。同検討会は3月15日の前回会合で議論の中間整理をおこない「早急に取り組むべき課題」やその対策などについて、取りまとめをおこなったところ。
この日は関係者からヒアリングをおこなったほか、事務局が「早急に取り組むべき課題」の対応状況を報告。観光庁と厚労省が近日中に、海外の民泊仲介サイト運営事業者に対して民泊サービスの取扱いに関する要請文を送付することを明らかにした。4月1日に旅館業法の施行令の一部を改正したことに伴うもので、民泊サービスの提供者を把握する事業者を通して、サービス提供者に旅館業法で定める簡易宿所の認可取得を促すことがねらい。今回の改正では客室延床面積の要件などを緩和することにより、認可取得を促進している。
送付先は欧米系の事業者が3社から4社、台頭している中国系の事業者が2社から3社となる予定。Airbnbについては4月の初めに送付し、今後は直接担当者とコンタクトを取り、協力を求めるという。
要請文では事業者に対して、サービスの提供者は原則として旅館業法による許可取得が必要であることを周知し、許可の取得を呼びかけることを要望。さらに民泊が禁止されている集合住宅内の物件が登録されることがないよう注意喚起を徹底することや、警察からの情報提供依頼に対して必要な範囲で協力することなども求めている。
観光庁と厚労省はそのほか、今回の改正を踏まえて「旅館業法Q&A」を「民泊サービスと旅館業法Q&A」に改訂。4月1日に都道府県などに通知するとともに、厚労省のウェブサイトに掲載した。また、各自治体には簡易宿所の客室面積基準や玄関帳場に関する規制が緩和されたことなどを周知するとともに、条例の弾力的運用や改正などを要請。27日には都道府県などの担当者向けに、説明会も開催する。
この日の会合では、特区民泊許認可取得者などが昨年9月に設立した一般社団法人の民泊協会と、特区などで「合法民泊サービス」を提供する「とまれる」からヒアリングを実施。民泊協会は旅館などの民泊サービスへの参入や、サービス提供者に一定の対応を求める一方で旅館業法の適用を受けないこととするガイドラインの策定を提案した。とまれるは「ヤミ民泊」の取り締まりや違反者への厳罰を要望。そのほか全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会や、全国賃貸住宅経営者協会連合会も意見書を提出した。
同検討会は今後、6月中を目途に報告書を取りまとめる予定。次回の会合は4月22日を予定している。