ベルギーテロ、旅行会社はツアー中止、全日空は運休-各社の対応

  • 2016年3月23日

▽ランドオペレーター、航空会社、政府など

 ミキ・ツーリストはブリュッセル支店で情報収集に努め、旅行会社に対して随時最新情報を提供しているところ。ツアーの催行可否などについては各旅行会社に判断を委ねている。

 ツムラーレによれば、現地時間22日15時の時点でブリュッセルの主要な観光地は閉まっており、ユーロスターなどの国際電車も一部を除き運行を見合わせている。同市については22日には外出禁止令が出たものの、23日は通常通りに戻り学校なども再開。そのほか隣国では、パリのオルリー空港やシャルル・ド・ゴール空港が厳戒態勢に入りセキュリティを強化したという。

 日本航空(JL)は、23日の時点では特段の対応はおこなっておらず、状況を注視しているという。同社は今月に入り成田/パリ線の運航を再開。4月と5月の予約状況は回復傾向にあるが、今回の事件がどのような影響を与えるかについては不透明との見方を示した。

 全日空(NH)は22日のブリュッセル発成田行き便と、23日の成田/ブリュッセル線の往復2便の計3便を欠航とし、約400名に影響が出た。24日から31日までの計16便についても全休する計画で、同期間中には約1700名に影響が出る見込み。運休便の予約者には、手数料を徴収せずに払い戻しや予約変更などに応じる。4月1日以降の運航については、状況を見極めながら可否を検討するという。

 なお、22日の成田発ブリュッセル行き便については、ブリュッセル空港が業務を停止したためデュッセルドルフに着陸。到着後の乗客に対しては現地係員が移動などをサポートしたという。

 NHは23日から25日にかけて、デュッセルドルフ発成田行きの臨時便を3便運航する予定。デュッセルドルフを18時00分に出発し、成田には翌日の13時30分に到着する。23日については、運休したブリュッセル発成田行き便の乗客と、22日にデュッセルドルフで降機した乗客が対象となるが、24日と25日については消費者向けに幅広く販売するという。ブリュッセルからデュッセルドルフまでの移動については、乗客が自費でおこなう必要がある。

 今回の事件を受けて日本政府は在ベルギー日本大使館に現地対策本部を設置し、邦人の安否確認と安全確保に向けた対応に当たっているところ。事件発生後は数度にわたり在留邦人や「たびレジ」登録済みの短期渡航者にメールを発出し、注意喚起をおこなっている。

 現地からの報道によれば、今回の事件で少なくとも34人が死亡、198人が負傷したとされ、外務省によればそのうち日本人は男性の重軽傷者が各1名。ベルギー政府が被害者数の最終発表をおこなうまでは、増加する可能性があるという。一部のメディアは2名はともに現地在住者と報じているが、同省は非公表としている。

 外務省は、今回の事件が発生する前の3月16日には「海外安全ホームページ」でテロの脅威に関する情報を発出をしていたが、22日以降は数度にわたり注意喚起のための安全情報を更新。ベルギー政府が全土のテロ脅威度を最高レベルの4(非常に高く危険な状態)に引き上げたこと、イスラム教過激派組織のISILが犯行声明を発出したこと、犯人が逃亡中であることなどを伝えている。

 そのほか、観光庁は23日に日本旅行業協会(JATA)などに宛てて事務連絡「ベルギーで発生した連続テロ事件を踏まえたテロ対策の徹底」を発出。会員会社に対して、日本人旅行者の安全確保に万全を期すよう周知を要請している。