「新・観光立国論」受賞記念で豪華討論会-二階氏や閣僚など一同に
閣僚会議「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」の民間委員などを務めるデービッド・アトキンソン氏が、昨年の著書「新・観光立国論」でPHP研究所の「山本七平賞」を受賞したことを記念するパーティーが、1月19日に都内で開催された。あわせて催された基調講演ではアトキンソン氏が、討論会では自由民主党総務会長で全国旅行業協会(ANTA)会長の二階俊博氏、3人の現役閣僚、日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏、観光庁長官の田村明比古氏などが登壇。約400人の関係者を前に、観光立国の実現に向けたビジョンや、克服すべき課題などについて意見を交換した。
「新・観光立国をどう実現するか」と題した基調講演でアトキンソン氏は、日本は年間の訪日外国人旅行者数を20年までに5600万人、30年までに8200万人にまで引き上げるだけの「潜在能力」があると主張。そのために今後は、訪日旅行において「多様性」を生み出すことが重要になるとの見方を示した。
具体的には、将来的に大きな伸びが期待できる欧州などからの旅行者を取り込むことで訪日旅行者の多様性を生み出し、訪日旅行の目的やデスティネーション、提供するサービスなどの多様性つなげると説明。そのほか「日本もGDPの10%を観光が担うことは夢ではない」と述べた上で、そのためには諸外国に倣い「文化スポーツ観光省」を創設する必要があると提言した。
討論会では、冒頭でJATA会長の田川氏が、今後の観光立国の実現に向けては「文化スポーツ観光省のような組織が必要」と同調。また、ツーウェイツーリズムの重要性についても強調し「日本人は50年間海外を見てきた割には、その経験が国内に生きていない」と指摘。出国者数の減少が進行することは、訪日外国人旅行者の受入体制強化の妨げにつながるとの見方を示した。
観光庁長官の田村氏は「アトキンソン氏も仰る通り、日本の観光資源は素材としては良いが、まだまだ外国人旅行者の目線で磨く必要がある」と指摘。また「観光産業の中核である宿泊施設や飲食店などは、国際的に見てまだまだ生産性が低い」と述べ、「合理化が難しい分野ではあるが、マルチタスク化や在庫管理などで生産性を向上させることが重要」と説明した。
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