中国懇話会、今年は「訪日に負けない」1年に-航空座席増に期待
中国旅行懇話会と中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会(中連協)はこのほど、合同新年会を開催した。中国旅行懇話会代表幹事のJTBワールドバケーションズ豪亜・中国部中国企画チームチームマネージャー野崎辰巳氏は冒頭の挨拶で、2015年も中国人の訪日旅行者は急増した一方で、日本人の訪中旅行は低調だったことを説明。「逆風が吹いた。座席数が逼迫して売りたくても売るものがない1年だった」とを振り返った。一方で、昨年5月の日中航空当局間の非公式協議を受けて各社の増便があったことから「16年は恩恵にあずかれれば」と期待。今年は懇話会での情報共有などを進めることで「訪日に負けないように取り組んでいきたい」と語った。
日本政府観光局(JNTO)によれば15年1月から10月までの訪日中国人旅行者数は、前年比112%増の428万3000人で、通年では500万人を超える見込み。一方で、訪中日本人旅行者数は8%減と大幅に落ち込んでいるわけではないものの、野崎氏によればレジャー需要は「人員ベースで5割から6割は減っているのでは」という。同氏は「座席さえあれば」と述べるとともに、今後は懇話会として、中国国家観光局との意見交換などにも取り組みたい考えを示した
そのほか、この日は日中交流に関する各方面の代表者が挨拶。外務省中国・モンゴル第1課兼日中交流室地域調査官の中原邦之氏は、15年には3000人規模の「日中観光文化交流団」の訪中や、約3年半ぶりの「日中韓サミット」が実現したことなどから「日中関係は改善に向かっている」との見方を示し、訪中観光客の回復に期待を示した。
日本旅行業協会(JATA)事務局長の越智良典氏は、「航空交渉に動きがあったことで、訪中旅行にも回復の兆しが見られる」と説明。そのほか「昨年に中国各地を訪れたが、新幹線やホテルなどの整備が非常に進んでおり、旅行のスタイルも以前とは変わっている」と報告し、「時代に遅れないような商品造成を」と呼びかけた。全国旅行業協会(ANTA)専務理事の有野一馬氏は「昨年の訪中団などの成果が形になるよう、JATAと同様に頑張りたい」と語った。
中連協会長を務めるJTBグローバルマーケティング&トラベル取締役の吉村久夫氏は、訪日旅行の好調さについて述べた上で「やはり双方向交流の拡大が重要」と強調。昨年12月に大気汚染が問題化している北京を訪れた際に、マスクを持参したが使う必要がなかった旨を説明し、「赤色警報が発令される日もあるが、北京にはこんなに真っ青な空もあるということを知った。中国の素晴らしさは、やはり実際に訪れてみなければわからない」と訴えた。