ピースボート主催のジャパングレイス、16年夏商品から卸売へ
NGO団体「ピースボート」の企画クルーズのツアーを主催・販売するジャパングレイスは、2016年夏の「第92回ピースボート 地球一周の船旅」から、他社への卸売などをおこなう予定だ。同社取締役の山本隆氏は本誌の取材に応え、すでに数社と話し合いを進めていることを明かした。同氏は「ピースボート自体はポスターなどで認知されているが、現時点では消費者が申し込もうとインターネットで検索しても、他社のウェブサイトでは商品が予約できない」と説明。販路を拡大することで「(興味を持った消費者を)乗船へと結びつけたい」と考えを語った。
山本氏は、旅行会社が自社のツアーとしてピースボートを販売し、ツアーの説明なども担当するケースと、旅行会社がジャパングレイスの商品を顧客に紹介し、申込後の案内や乗船前の説明会などをジャパングレイスが担当する受託販売のケースを想定していると説明。いずれも旅行会社に対しては一定のコミッションを支払う。世界一周クルーズは出発までの約1年間、説明会や電話、店舗などを通して顧客とのコミュニケーションを綿密に取る必要があるが、旅行会社の社員が専門知識を身につけることが負担になるとの見方を示した同氏は、「我々が案内などをサポートしたい」と語った。
世界一周クルーズは現在、プルマントゥール・クルーズの「オーシャンドリーム」(3万5265トン、乗客定員1422名)をチャーターして実施しており、平均乗客数は900名から1000名程度。卸売による他社からの送客で、100名から200名の積み増しをはかる。山本氏は「地場の旅行会社と、全国的にネットワークを持っている旅行会社の両方に取り扱ってもらうことが理想」と語り、大手から地域密着型の旅行会社まで、幅広く訴求していく方針を述べた。世界一周クルーズは長期間にわたることから、時間や予算に余裕があるシニア層をターゲットにした旅行会社にもアプローチしていく。
旅行会社向けには、顧客向けの対応マニュアルや、卸売用の総合パンフレットを作成して配布する予定。パンフレットについては、従来は1回のクルーズあたり1冊を制作していたが、新たにより販売しやすいように3回のクルーズを1冊にまとめたものを制作中で、12月中には完成する見込みだ。また、旅行会社を対象にした商品説明会なども計画しているという。