「薩長土肥」4県が観光同盟、明治維新150周年記念で
鹿児島県、山口県、高知県、佐賀県は8月31日、東京都内で4県共同の広域観光プロジェクト「平成の薩長土肥連合」の発足を宣言する盟約締結式を開催した。2018年に明治維新150周年を迎えることを契機に、幕末維新期に多くの人材を排出し維新に寄与した薩摩藩(鹿児島県)、長州藩(山口県)、土佐藩(高知県)、肥前藩(佐賀県)にあたる4県共同で、観光促進をはかる考え。
今後は4県と各県の観光連盟、コンベンション協会が協力し、共同事業を展開。「薩長土肥」の知名度を活用した情報発信に加え、広域周遊ルートの形成、4県の相互送客体制の構築、国内外からの観光客の誘致、各県の観光産業の育成、強化に取り組んでいく。
盟約締結式には各県の知事が出席。鹿児島県知事の伊藤祐一郎氏は「観光は地域振興の柱」と強調し、150周年を契機に4県共同で観光促進をはかり、地域の個性を全国に発信していきたいとした。山口県知事の村岡嗣政氏は「(遠隔地同士で)テーマに応じてストーリー性をもった連携はなかなかない」と連合の意義を説明。世界遺産「明治日本の産業革命遺産」などをフックに、国内外にアピールしていきたい考えだ。
高知県知事の尾崎正直氏も、「(4県には)共通の物語があり、第2、第3の訪問先として訪日外国人旅行者に観光を売り込むには最高のデスティネーション」と説明。佐賀県知事の山口祥義氏は、観光を含め「政策的なノウハウの連携もできれば」と期待を示した。
今後は各県の観光担当課、観光連盟・協会でプロジェクトチームを結成。各県ごとに役割を分担し、広域観光ルートの形成、旅行商品の造成促進、観光プロモーションの推進、共同イベントの開催の4チームで取り組みを進めていく。
広域観光ルートの形成では、今年から18年までスタンプラリーを実施。2県、4県を訪問した旅行者に証明書を贈呈するほか、抽選で賞品をプレゼントする。また、航空会社や鉄道各社などとタイアップした情報発信もおこなう計画で、16年からJRの広報誌や全日空(NH)の機内誌でアピールしていく。今後は修学旅行の誘致活動も展開するほか、2県から4県を周遊するモニターツアーもおこなっていく。
旅行会社に対しては、薩長土肥をテーマにした旅行商品造成を働きかけていく。まずは幕末維新ゆかりの観光素材を抽出して「観光素材集」を作成。また、旅行会社にヒアリングをおこない、「幕末維新の志士」「産業遺産」などの共通テーマを設定していく。16年から4県共同の旅行会社向け合同説明会も開催する計画だ。加えて、クルーズの誘致にも取り込んでいく。
観光プロモーションや共同イベントについては、首都圏や関西圏でのイベントや、メディアや旅行業界を対象にした説明会などを実施。ポスターやリーフレットも作成する。また、既存の観光・物産イベントへの共同出展や、県合同の観光物産展などの記念イベントの開催を実施。18年には記念シンポジウムも開催予定だ。