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航空局、16年度概算要求は7%増の3593億円-訪日客受入環境整備など

  • 2015年8月30日

 国土交通省航空局(JCAB)はこのほど、2016年度の空港整備勘定予算の概算要求で、15年度予算比7%増の3953億円を要求する。歳入は一般会計からの受け入れが10%増の964億円、空港使用料収入が11%増の2104億円、雑収入などが20%増の885億円。

 今年度は首都圏空港の機能強化で、20年までの羽田、成田空港における年間合計発着枠約8万回の拡大に取り組む。また、訪日外国人旅行者の急増を踏まえたCIQなどの環境整備や、那覇、福岡空港の滑走路増設事業などによる空港ゲートウェイ機能の強化にも取り込む。また、空港運営の民間委託など国管理空港の経営改革推進に必要な事業をおこない、地方創生、地域活性もめざす。

 また、航空の安全・安心の確保のため、空港の耐震、老朽化対策や、空港におけるボディースキャナーの導入による保安検査の高度化といった、保安対策の強化もはかる。

 概算要求では「国際拠点空港の機能強化」「航空交通ネットワークの機能強化」「空港周辺地域との共生と離島航空路線の確保維持」「航空保安対策の強化」の4項目で要求をおこなった。


▽国際拠点空港の機能強化(羽田、成田、関空・伊丹、中部)

 同項目では52%増の642億円を計上した。このうち羽田については71%増の498億円で、飛行経路の見直しのために必要な保安施設や誘導路などの施設整備に係る、調査や設計などを実施。夜間駐機場の拡充をめざし、駐機場や誘導路の整備もおこなう。さらに、際内トンネルの整備や空港アクセス道路の改良などで乗継利便性の向上をめざす。

 成田では11%増の49億円を要求。東京オリンピック・パラリンピックの関係者や観客の受け入れに向け、CIQを含むターミナル全体の利便性向上を検討するための調査などを実施。空港を運営する成田国際空港(NAA)の会社事業としては自主財源で約470億円を費やし、高速離脱誘導路やエプロンの整備をおこなう。

 関空と伊丹は前年並みの83億円で、両空港で老朽化が進む保安施設の更新やCIQ施設の整備をおこなう。なお、コンセッションによる事業移管後の運営権者による事業の内容は現時点では未定。

 中部は300%増の12億円を計上。リニア中央新幹線開業による航空需要の変化を見据えた、今後の中部圏の空港のあり方などに関する調査などをおこなう。運営会社の中部国際空港では自主財源で37億円を費やし、駐機場の整備などを実施する。


▽航空交通ネットワークの機能強化

 19%増の1208億円を要求した。このうち「一般空港等」は18%増の876億円。具体的には、那覇、福岡空港で滑走路増設事業を引き続き実施。那覇空港では、19年度末に供用開始予定の第2滑走路の事業費として345億円を要求した。このうち国費は330億円。16年度は用地造成などをおこなう。

 福岡空港では、第2滑走路の増設のための調査と設計を実施。総事業費は約1643億円で、事業期間は15年から約10年間とした。また、19年度の空港運営の民間委託開始を目途に、予算編成過程で民間委託のスキームについて関係者との調整もおこなっていく。

 さらに、空港の利便性向上や航空機の慢性的な遅延の緩和などを目的に、福岡、那覇、新千歳空港で「ターミナル地域再編事業」を実施する。このうち新千歳空港は今回新たに着手。20年を目途に国際線エプロンの拡張、誘導路の新設、CIQ施設の増設などをおこなう。そのほかの地方空港でも、訪日外国人旅行者の受入環境整備を実施していく。

 このほか、空港運営の民間委託などによる「空港経営改革推進」は前年並みの6億円、管制施設や保安施設、通信施設などの「空港路整備事業」は21%増の326億円を要求した。

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