アクセスランキング、1位はお盆の航空予約、IB再就航も
[総評] 今週の1位は、日本航空(JL)と全日空(NH)が発表した2015年お盆休み期間の予約状況を合わせてお伝えした記事でした。数値からは規模のNH、利用率のJLという状況を見て取ることができ、もちろんここに売上とコストを加味しなければ航空会社の成績としては評価し得ないものの、JLの経営破綻や羽田の傾斜配分以降のトレンドが続いていると考えられます。
方面別の動向を見ると、2社ともに北米線の旅客が2桁増となっている点が目につきます。昨年の数値が特別悪かったわけではないはずですが、かといって好調という声も聞きませんので不思議に感じます。
また、方面別という意味ではハワイを除く全方面で、NHの座席数と旅客数がJLのそれを上回っていることも印象的です。
NHは、6位に入ったスカイマーク(BC)の再建支援の過程でエアバスA380型機の購入を約束したという報道も出ているところで、仮にこれが事実であったとしてJLの最後の砦ともいえるホノルル線に投入されるようなことがあれば、日本の海外旅行の原点であるハワイ市場に大きな変化がもたらされ、あるいはNHが全方面でJLを上回り、海外旅行業界の競争環境が激変する可能性を秘めているように思います。
航空業界側の要因による旅行業界環境の変化という意味では、4位のイベリア航空(IB)による日本再就航の検討も目を引きます。彼の国の人気はあえてここで触れる必要もないほどで、長い歴史に支えられた豊富な観光素材だけでなくおいしい食事やサッカーも魅力抜群で、直行便が就航すれば間違いなく訪問者が大きく増えると期待できます。
ただ一つ気になるのは、なぜこのタイミングなのかという点です。出国者数の伸び悩みは周知の通りですし、訪日需要は増加しているとはいえ今年上半期のスペインからの訪日客数は2万8000人に留まります。IBが復便を決定したわけではないのでなんともいえませんが、海外から見た日本市場のビジネスチャンスというのは、日本の業者にとってもヒントになり得るでしょう。機会があれば是非直接お聞きしてみたいところです。
また、今週はもう一つ、同じように直行便のキャパシティが市場に与える影響を観察する好例が10位にランクインしています。内容はカンタス航空(QF)による羽田/シドニー線と成田/ブリスベン線の就航で、これによりQF日本路線の座席数はほぼ倍となりました。
日豪路線では、NHも12月から羽田/シドニー線に就航することを決めており、数年前では考えられなかったような変化が生じることになります。日豪路線はもともとアジア路線のように増減便の激しい動きがなく、以遠需要もさほどありませんので、2社の事業拡大によって生じる影響が計測しやすいのではないかと予想しています。
また、オーストラリアは訪日需要も規模が大きく、15年上半期では16万7000人の方々が日本に来られていますので、双方向の影響を観ることができるでしょう。例えばJLの成田/シドニー線の運賃に対してNHがどのような値付けをするか、それに対してJLやQFがどのように対応するか、そういった販売戦略を含めて注目していきたいと考えています。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年8月第1週:8月2日0時~8月7日18時)
第1位
◆JAL・ANA、お盆の国際線予約は8.3%増-国内線は0.2%減(15/08/02)
第2位
◆ソフトバンクのSBプレイヤーズ、旅行会社を設立、地方誘客へ(15/08/04)
第3位
◆フィンエアーが大規模ファム、モノデスティネーション化推進(15/08/06)
第4位
◆イベリア航空、日本再就航の意向表明、15年末まで検討(15/08/03)
第5位
◆外務省が危険情報の表記変更-JATA、要望で「一定の成果」(15/08/06)
第6位
◆スカイマーク再生、ANAHD支援案が可決-共同運航など開始へ(15/08/05)
第7位
◆全日空、羽田/広州線開設、北京、上海線増便-10月25日から(15/08/04)
第8位
◆現地レポート:グアム、MICE受入体制を強化、多様なイベント訴求(15/08/04)
第9位
◆ルフトハンザグループ、欧州内エコノミーで新運賃、3種の料金に(15/08/02)
第10位
◆カンタス、東京/豪州間2路線に就航、座席数大幅増(15/08/04)