サービス連合が観光立国に向け提言-「現場からの声」強調
サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)はこのほど、「2015-2016年度観光立国実現に向けた提言」を取りまとめた。提言はすでに加盟組合に配布済みで、今後は関係省庁と業界団体に提出する予定。また、16年2月には提言を幅広く発信し理解してもらうことを目的に「観光政策フォーラム」も開催する。
同会では「運動の基本目標」の1つとして、社会的に公正な産業活動と観光立国にふさわしい産業の発展を促すため、現場の労働者の立場から積極的な提言をおこなっているところ。今回の提言は2013年度から14年度版に続く2回目の提言で、サービス連合副事務局長兼政策局長の千葉祟氏は「現場からの声として提出する」と強調した。
今回の提言では、前回の提言で打ち出した「観光需要の拡大」「環境整備」「健全な産業発展」「人材育成」に加え、地域社会との連携を強め、地域固有の課題を解決するための取り組みが重要との位置づけから、新たな項目として「地域政策」を設定。現在は北海道、東北、東日本、中部、西日本、沖縄の6地域に地方連合会を設けているが、サービス連合が目標達成に向けて掲げる活動のうち、特に「政策提言機能強化」に注力しているという東北地方と中部地方を組み込んだ。
東北地方に関しては「東日本大震災からの復興と産業振興」として、国内外の旅行者への正確で迅速な情報発信に加え、被災地状況の定期的な発信や「震災語り部」の育成サポートおよび多言語対応に対する仕組みづくり、福島県内にある観光地の除染、定期的な線量検査・情報発信などを提案。さらに、震災を語り継ぐための施設や遺構などは、地震のもたらす破壊力を語り続けるものとなるため重要視し、地元住民の意向を踏まえつつ、造設や保存することを訴えた。
中部地方においては、貸切バス制度について提言。新運賃や料金制度が導入されたことで、これまで可能だったワンマン運行でのツアーを実施できない問題や、顧客のニーズにあった料金設定ができないなどの問題に対し、貸切バスの区域外や県外配車については規制を緩和するなど柔軟な対応を求めた。さらに、「貸切バスの運用」「中部空港の利便性向上」「名古屋駅の環境整備」「名古屋港における商業施設の活性化」に対する取り組みも提案した。
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