国交省、訪日外客向け広域ルート7件を認定、助成対象に
国土交通省は6月12日、今年の4月から公募していた訪日外国人旅行者向けの広域観光周遊ルート形成計画について、申請のあった7つのルートを認定した。複数の都道府県にまたがる、テーマ性やストーリー性を有する観光地群をネットワーク化し、魅力的な観光ルートとして広く発信するとともに、ゴールデンルート以外への送客を促進する。今後、各ルートの実施主体は単年度ごとに事業計画を策定し、策定された計画に対して観光庁が事業費の一部を負担する。
今回認定したのは、「アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし 北・海・道」(Hokkaido - Route to Asian Natural Treasures)、「日本の奥の院・東北探訪ルート」(“Exploration to the Deep North of Japan”)、「昇龍道」(SHORYUDO)、「美の伝説」(THE FLOWER OF JAPAN,KANSAI)、「せとうち・海の道」(The Inland Sea, SETOUCHI)、「スピリチュアルな島~四国遍路~」(Spiritual Island ~SHIKOKU HENRO~)、「温泉アイランド九州 広域観光周遊ルート」(Extensive sightseeing route of ‘Onsen Island’ Kyushu)。なお、観光庁によれば今回の公募には12件の申請があったという。
「プライムロード ひがし 北・海・道」推進協議会が申請した「アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし 北・海・道」は、富良野、十勝川温泉、知床、釧路などを拠点とするルート。道東の自然や景観、食などをアピールして富裕層をターゲットに誘客をはかるとともに、現在は札幌に集中している訪日外客の誘導もめざす。
東北経済連合会などからなる東北観光推進機構が申請した「日本の奥の院・東北探訪ルート」は、八甲田、田沢湖、仙台、松島、蔵王、会津、喜多方などを拠点とするルート。台湾や香港などの個人旅行者をメインターゲットに、自然や歴史、文化、食を提案して仙台空港や首都圏、函館からの誘客をはかる。
中部経済連合会などからなる中部(東海・北陸・信州)広域観光推進協議会が申請した「昇龍道」は、白川郷、五箇山、金沢、飛騨高山、伊勢、富士山南麓などを拠点とするルート。アジアやアメリカからの旅行者をターゲットに、中部発着路線と東海道新幹線、北陸新幹線を活用してゴールデンルートからの呼び込みをめざす。
関西広域連合と関西経済連合会、関西地域振興財団が申請した「美の伝説」は、奈良や京都の文化財地区や熊野、天橋立、大阪城周辺などを拠点とするルート。5つの世界遺産や絶景、食などで東南アジアや欧米からのリピーターなどにアピールし、訪日外客が集中する京都や大阪から、北近畿と南近畿への送客をはかる。
広島県知事の湯﨑英彦氏が会長を務める瀬戸内ブランド推進連合と、中国経済連合会などからなる瀬戸内観光ルート誘客促進協議会が申請した「せとうち・海の道」は、徳島、鳴門、高松、琴平、広島、宮島などを拠点とするルート。欧米の富裕層などをターゲットに、静かな内海の景色と歴史的な建築物や工芸などを訴求して、ゴールデンルートの延長線上に観光動線を形成する。
JR四国取締役会長の松田清宏氏が会長を務める四国ツーリズム創造機構が申請した「スピリチュアルな島~四国遍路~」は、高松、今治、西条、新居浜、四万十、足摺などを拠点とするコース。お遍路などの文化や史跡などをアピールしながら、コンパクトで素朴な四国旅行の魅力を、欧米からの旅行者などに訴える。
JR九州相談役の石原進氏が会長を務める九州観光推進機構が申請した「温泉アイランド九州広域観光周遊ルート」は、九州7県すべてにまたがるルート。温泉を軸に、歴史や文化、自然、食などを訴求し、韓国や中華圏、欧州のFITの拡大をはかり、福岡から東九州、西九州への送客増をめざす。