南ア、アフリカ全体で魅力を訴求-マンデラ氏や花などの素材提案

  • 2015年6月11日

アフリカ全体の共通の魅力訴求
日本市場を引き続き重視、17年に直行便就航の可能性も

2020年に外国人訪問者数1500万人へ
ビジネス需要に注力、日本重視の姿勢変わらず

「南アの人々のフレンドリーで温かいところを感じて欲しい」と話す観光副大臣のカーサ氏  ハネコム氏は2014年を振り返り、「エボラの影響にもかかわらず、南アへの外国人観光客数は6.6%増加。この20年で旅行業は発展し、国の経済に大きく貢献した」と評価。観光副大臣のトコジレ・カーサ氏もインタビューで、2014年は「アフリカ全体へのエボラ出血熱の風評被害が避けられなかった」ものの、旅行者数は増加したと振り返った。「南アフリカにはエボラ熱の発症例が一例もなかったにも関わらず、アフリカ全体がエボラを持っていると思われた」が、今では西アフリカでの感染数は減少し「発生時の状況からは改善に向かっている」という。

 カーサ氏によれば、2020年までの観光産業における目標は「海外からの観光客数1500万人、観光業がGDPに占める8%を倍増、22万5000人の新たな雇用」の3点。目標に向けて重視するのがビジネスツーリズムで、政府は南アフリカ・ナショナル・コンベンションビューロー(SANCB)を立ち上げている。同氏は「ビジネスやMICEは順調に増加し、多くの会議やイベントが開催されている」と評価した。また、SATアジア太平洋地区プレジデントのブラッドリー・ブラウワー氏は、日本市場において「南アにはソニー、三菱、トヨタなどの日本の大手企業の拠点があるので、それらの会議開催の支援や誘致に取り組みたい」と意欲を語った。

ジャカランダの花が見られるプレトリアのあるツワネ市のブース  日本市場については、カーサ氏が「訪問者数は多くはないが確実に増えており、まだ伸びる余地がある」と語り、重要性を強調。「セグメントごとに新しい素材を紹介し、もっと南アで過ごす時間を増やしたい」と意気込みを示した。同氏は、日本人は花を好む傾向があるとし、「10月のジャカランダはもちろん、8月にワイルドフラワーを見る旅も好調。春先の降雨後に砂漠地帯に花畑が出現するという自然現象が見られるナマクワランドは日本市場に浸透している」と語った。

「南ア訪問者はリピート率も高い」というSATアジア太平洋地区プレジデントのブラウワー氏  また、旅行業のパートナーと連携し、ニーズを分析しているというブラウワー氏は、「日本ではアジアなどへの安いツアーが定着しているため、ロングホールでも手ごろなパッケージツアー造成が大事」と語った。同氏によると、ホオジロザメに出会えるシャーク・ケージ・ダイビングなどのアクティビティを体験したい若い世代が増えており、そうした需要に対応したツアーが成功しているという。

インダバのウエルカムアンバサダー、ラグビーの元南ア代表選手チェスター・ウィリアムズ氏。サプライヤーが5分で次々にプレゼンテーションをする「スピードマーケティングセッション」のMCを務めた  さらに、SATでは故ネルソン・マンデラ氏ゆかりの地を紹介するスマートフォン用アプリケーションを作成するなど、マンデラ氏の足跡にまつわる観光素材を積極的にアピールしている。ブラウワー氏は「日本人はマンデラ氏に親近感を持っている」と日本への訴求に自信を示し、「ロベン島などのゆかりの地を訪れることで、そこに何が起こったのかがわかり、マンデラ氏の遺したものを共有できる」と述べた。さらに、カーサ氏は「南アは本物の体験ができる国。黒人居住区タウンシップにも手を加えず、人々の活気を体験できる場所だ」と加えた。

 このほか、ブラウワー氏は日本人訪問者数を増やすための課題として、航空アクセスについて言及。直行便の就航に向けて長く働きかけてきた結果、「日系航空会社の2017年の路線計画に南アフリカ便がある」ことを明かし、訪問者の更なる利便性向上に期待を示した。