「募集型PEX約款」導入へ、個別で取消料請求可能に
日本旅行業協会(JATA)によれば、このほど募集型企画旅行について、PEX運賃などの取消料や違約料を反映した取消料設定を可能にする旅行業約款が、各社の個別申請により認可されることになった。対象となるのは航空会社が「先得割引」「旅割」などと称して定める正規割引運賃や、LCCの航空運賃など。航空運賃の取消料が標準旅行業約款で規定する取消料を超える際、その航空運賃の取消料を企画旅行の取消料として請求できるものとする。
募集型企画旅行は不特定多数の消費者を対象とすることなどから、証憑書類の提出が困難だが、PEX運賃などについては航空会社がウェブサイトなどで取消料を明示でき、証憑機能も果たすことなどを勘案した。IT運賃やGT運賃などについては対象としない。海外旅行においては日本発着時に使用する航空運賃に限定する。
今回の決定は、JATAと観光庁による検討および調整の上で決定されたもの。6月24日に開催されたJATAの定時総会では、標準旅行業約款改正の取り組みについて言及した事務局長の越智良典氏が、昨年7月に受注型企画旅行の取消料規定で個別約款による実額請求が可能になったことについて説明した上で「募集型企画旅行に関しても個別約款で対応できるように折衝中」と報告していた。
標準旅行業約款における募集型および受注型企画旅行の取消料規定については、多重予約などによるキャンセルの多さなどを受け、旅行業界から見直しが要望されていた。JATAが10年に主要会員企業5社に対して実施したアンケートによれば、海外旅行申込者のうち予約を取り消す人の割合は約半分の48.6%に上るという。取消料規定の個別約款による対応は、サプライヤーが要求する取消料や違約金を、予約を取り消した消費者当人に負担してもらうことで、多重予約などを牽制して販売機会の損失を防ぐねらいがある。
また、募集型および受注型企画旅行で宿泊施設をアップグレードした場合に、変更補償金の支払い対象外とすることが可能となる旅行業約款も、同様に個別申請により認可されることとなった。これらについてJATAは、7月2日に会員に周知する予定。7月13日には大阪、15日には東京で説明会を実施する。