入社式で社長訓示、変化をチャンスに、柔軟な対応を
▽航空会社
ANAグループ:1187名参加(グループ32社計)
グループCEO 片野坂真哉氏
まず、新入社員の皆さんには、ANAグループ全社にとって「安全こそが全て」であることを、胸に刻みこんでほしい。安全こそが経営の基盤であり社会への責務であることは、すべての役員や社員が忘れてはならないことだ。全日空(NH)も過去には事故を起こしているが「2度と悲惨な事故を起こしてはならない」という固い決意のもと、すべての関係者が安全運航のために弛まぬ努力を続けてきた。世界を見渡せばさまざまなインシデントが発生しているが、安全を守り続けることこそが私達の責務といえる。
前身の日本ヘリコプター輸送が産声を上げてから63年間で、我々は1日1000便あまりを運航し、従業員3万3000人を抱えるグループへと成長した。この成長は我々の先輩方のチャレンジ精神の結果で、この精神こそがANAグループのDNAといえる。また、これまでにはさまざまな困難もあったが、それでも我々の先輩方は知恵を結集し、苦難を乗り切ってきた。この不撓不屈の精神も我々のDNAだ。これらのチャレンジ精神と不撓不屈の精神を、グループのDNAとして受け継いでもらいたい。
ANAグループは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、航空ネットワークを広げていく。また、今年の1月には、その5年先の2025年のビジョンを示した長期戦略構想を発表した。その推進役はまさしく新入社員の皆さんであり、その頃には会社をリードするプロになっているだろう。各自の才能や個性を伸ばして、しかし初心を忘れずに、自己の成長をANAグループの発展や成長に繋げていただきたい。
私からのアドバイスとしては、今日から皆さんには、周りの人すべてが我々のグループのお客様と考えて、自ら元気に挨拶をしていただきたい。上司や先輩、同僚だけでなく、職場の周辺でも自ら挨拶をしてみよう。挨拶をされた人はその日1日が気分の良いものになるかもしれないし、皆さん自身もより積極的になることができる。多様な人財が集い、活発に議論し、それぞれの個性を尊重し合う、そんなグループを作るために、まずは挨拶から始めてほしい。
JALグループ:1064名参加(JALグループ32社計)
代表取締役社長 植木義晴氏
日本航空(JL)は5年前に経営破綻を経験した。しかしお客様や関係者の方々にご支援をいただき、社員も一丸となって変革を成し遂げ、再建の道を歩むことができた。現在のJALグループは破たん前とはまったく別の会社に生まれ変わっている。会社内の常識や風土も一新された。新入社員の皆さんと会社を作っていく土台は確実にでき上がったと、自信を持っていうことができる。
現在の航空業界は大競争時代に入っている。日本には海外の航空会社がどんどん参入し、国内でも既に4社のLCCが設立されている。競争環境は非常に厳しいが、競争に打ち勝ちつためには、他の会社にはない差別化できる要素が必要となる。JLでもここ数年は最新のサービスを次々に導入し、充実をはかってきた。
しかし、現在のJALグループにとって最も差別化できる要素は人材だと思う。新入社員の皆さんをはじめとする社員は最大の財産で、私にとっては誇りでもある。私は社長ではあるが、多くの素晴らしい仲間や社員に支えられて経営をしていると実感している。
我々には世界一の航空会社になるという夢がある。「世界一お客さまに選ばれ、そして愛される航空会社になる」ために、全員が一丸となって日々努力を重ねている。現場の社員は自ら考えて判断をし、そしてお客様を第一に考えて行動するようになった。また、当事者意識を持ち、率先垂範することを覚えてくれた。そんな先輩たちと皆さん、そして我々経営陣が一体になり、夢を実現させていきたいと思う。
皆さんには新しいことに挑戦する勇気を持ってもらいたい。私は社長として、その先頭に立つことを約束する。