MICE人材育成「産官学が本気で連携を」-横浜商大シンポから

  • 2015年3月26日

育成環境はまだまだ不備だらけ
魅力や可能性のアピールも必要

 文部科学省の委託を受け、訪日旅行やMICEに対応できる人材の育成に取り組んでいる横浜商科大学は先ごろ、都内で2014年度事業の成果報告会を開催した。この日は実施したモデルカリキュラムや調査の結果報告、作成したeラーニング教材の紹介などをおこなったほか、有識者を招いてパネルディスカッション「MICE人材育成の未来」も実施。産学官の代表者がそれぞれの立場で、今後の日本におけるMICE開催増のために必要とされる人材と、その育成法について意見交換をおこなった。今回はその意見交換の模様を紹介する。

・パネリスト
多摩大学グローバルスタディーズ学部教授 市岡浩子氏
川島アソシエイツ代表 川島久男氏
日本政府観光局(JNTO)コンベンション誘致部次長 川崎悦子氏
プリンスホテル執行役員 徳永清久氏

・コーディネーター
横浜商科大学貿易・観光学科教授 宍戸学氏


「経営学の視点」が不足

多摩大学グローバルスタディーズ学部教授の市岡氏  多摩大学グローバルスタディーズ学部教授の市岡浩子氏は、大学における教育者の立場から日本のMICE向け人材教育の不備を指摘。専門コースが少なく体系的な科目配置がなされていないことを問題視したほか、海外の識者からは「経営学の視点に欠ける」と評価されていることなどを伝えた。一方、海外での人材教育については政府や自治体、学会などによる専門的な議論が進み、産官学の連携も活発であることを説明。人材教育をバックアップする環境が醸成されている旨を強調した。

 日本の教育機関が担うべき役割としては、MICEに関する周知や、知識および技能の提供、英語によるコミュニケーション能力向上の支援などを列挙。英語によるコミュニケーション能力については「必須」とし、「グローバル人材」や「国際交流」「国際理解」などの視点で展開をはかる必要があるとした。また、科目の拡充などを目的とした大学間連携、インターンシップなどの実務経験の場の提供、生涯教育としてのプログラム展開などで、教育機関はMICE向け人材の育成に貢献できると説明。産業界に対しては、学生を会議運営のボランティアなどに参加させる機会などを求めた。