MICE人材育成「産官学が本気で連携を」-横浜商大シンポから
育成環境はまだまだ不備だらけ
魅力や可能性のアピールも必要
観光振興とMICE振興は別もの
川島アソシエイツの代表で、40年にわたりMICEコンサルタントとして活躍している川島久男氏は、現在の日本のMICEを取り巻く状況について説明。自治体やコンベンションビューローなどのスタッフが、「観光振興とMICE振興を混同している」ことを問題視するとともに、MICE振興策が観光振興策の延長にあるものと見なされている状況に苦言を呈した。また、MICE向け人材の育成についても、「1年や2年で交代させるなど短期的。もっと長いスパンで考えなくてはいけない」と主張した。
MICEの運営に必要な人材の姿としては、「顧客のニーズを先回りできるコミュニカブルな人材」を例示。そのためには、外国人と英語で最低限のコミュニケーションを取れることが条件になるとした。また、デスティネーションマーケティングの基本を知り、イベントや会議の運営について基本的な知識を持つことも肝要と説明。そのほか、日本のMICEに「競争戦略」が欠けていることを指摘した上で、「基本的な戦略を立て、実行に移せる人材」が必要になるとした。
情報収集力と伝達能力の育成を
JNTOコンベンション誘致部次長の川崎悦子氏は、JNTOがデスティネーションマネージメントの視点でMICE誘致をおこなっていることを説明。他国との熾烈な競争の中で違いを見せるには、関係者の協力による「情報収集力」が重要になると主張した。また、単に情報を収集するだけでなく、「いかに相手が必要とするニーズを収集・分析し、伝えるか」もカギになるとした。
英語力については、市岡氏などと同様に「必須」としたものの、「外国人のネイティブように話す必要はない」と強調。コミュニケーションにおいて大事なことは、「伝えたいことをいかにうまく伝えるか」との見方を示した。