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退避勧告のニジェールに日本人ツアー、各方面が危険回避求める声

  • 2015年3月3日

 観光庁や外務省などによれば、このほど東京の旅行会社が2月中旬から下旬にかけて、外務省の危険情報で最もレベルの高い「退避勧告」が発出されているアフリカのニジェールへの受注型企画旅行を実施した。観光庁などはツアーの催行前から同社に中止を求めていたものの、同社は要請を受け入れず、10数日にわたるツアーを予定通り実施したという。退避勧告が発出されている地域へのツアーの実施は極めてまれで、観光庁などは今後、旅行業界に対して危険地域へのツアーは控えるよう呼びかけを強める見通しだ。

 観光庁によれば同ツアーの計画については、参加予定者が2月上旬ごろに現地大使館に問い合わせをおこなったことから、外務省が情報を把握。ニジェールでは治安の悪化から外国人を狙った誘拐事件などが発生しており、同省は2月の時点で北緯15度以北の地域などに退避勧告、北緯15度以南の大部分に渡航延期勧告を発出し、南部の首都ニアメについても渡航の是非を検討するよう要請している。観光庁と外務省は同社に直接接触するなど、複数回にわたり中止を呼びかけたが、聞き入れられなかったという。

 観光庁は、2月24日には「旅行安全マネジメント普及セミナー」を開催。加えて今春には、パンフレット「旅行業界のための旅行安全マネジメントのすすめ」を全国の旅行会社に配布する計画を進めており、旅行業界における危機管理体制の構築強化に努めているところ。同庁観光産業課によれば、今回のように渡航情報を発出している地域に旅行会社がツアーを催行し、参加者に生命に関わる危害が加わった場合は、「業務改善命令から旅行業登録の抹消まで、さまざまな対応を取る可能性がある」という。

 外務省領事局法人テロ対策室によれば、今回のようなツアーの実施は「かなりレアなケース」で、同様の事例はすぐには見当たらないという。同省では、旅行会社の造成する数多くのツアー商品の「すべてを把握することは難しい」としており、旅行会社には危険地域へのツアー催行を自粛することを希望。なお、昨年7月には一般向けの海外旅行者情報登録サービス「たびレジ」を開始し、活用を訴えている。

 日本旅行業協会(JATA)では加盟企業に対し、独自に作成したガイドラインにおいて、渡航情報において危険度が最も高い「退避勧告」と「渡航延期勧告」が発出された地域については、ツアー催行の中止を呼びかけているところ。「安全管理については各社が判断し対応する」との考え方から、強制はしていないものの、「旅行安全マネジメント普及セミナー」でもリスクの大きさを強調している。それ以外の「注意喚起」などが発出された地域についても、会員企業には十分な準備や対応を求めている。