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JATA田川会長、交流人口4000万人へ、多方面の取り組みに意欲

JATA会長の田川博己氏 日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は1月8日、新春記者会見に臨み、2015年は中国と韓国の復活を核とする海外旅行需要喚起や政策提言、訪日旅行分野におけるツアーオペレーター品質認証制度の認知向上、国内旅行での東北復興支援などを重点事業として取り組んでいく戦略を説明した。

 田川氏は、2014年に訪日外客数が1300万人を超え、1700万人規模の出国者数と合わせて「3000万人時代」に入ったと指摘。2020年には出国者、訪日外客ともに2000万人、合計4000万人をめざすことになるが、田川氏は2015年が「ターニングポイントだったと思われる年になるのではないか」と語り、幅広い事業を積極的に展開することが今後に繋がると意欲を示した。

 2015年の重点課題としては、まず「なんといっても海外旅行の需要喚起と政策提言をしっかりやっていきたい」と強調。需要喚起としては、特に低迷が続く中国と韓国について「是非とも具体的な策を早く出したい」とし、例えば昨年末に韓国へ派遣した1000名規模の視察団の効果発現をめざすほか、JATAの役員会を中国で開催して現地側と意見交換を実施するなど、多層的に取り組んでいく。

 また、政策提言では、単なる需要喚起だけでなく「なぜ日本人が海外旅行をしなくてはならないのか」「グローバル化の世界の中で日本人が海外旅行をする必要」「海外に行く意味」をアピールしていく。

 従来、JATAの活動はレジャー需要に焦点が当たる傾向が強かったが、MICEや教育旅行、出張、視察、留学なども含めて、海外旅行の本質的な意義を訴える方針で、現在は提言の内容を詰めている段階。6月の総会までに作業を終える計画で、田川氏は「(内容に)期待していただきたい」と自信を示した。

 このほか、好調な訪日旅行については旅行者の満足度を高めるためにも、ツアーオペレーター品質認証制度の海外での認知度向上を進める考え。また、国内旅行では、「東北の復興なくして国内の旅行の再生はない」との認識のもと、今後も10年単位で続く復興の道のりを見据えて中長期的な戦略の立案にも着手する。

 加えて、会員会社の経営支援の側面では、人材の獲得や育成、女性や外国人の登用と活用などに取り組む。例年2月に開催する経営フォーラムも、セミナー内容を経営者の役に立つことを念頭に刷新。ハッピーマンデー制度の改正阻止や燃油サーチャージ問題への対応も継続し、2年目となるツーリズムEXPOジャパンの成功も重要課題に掲げる。

 さらに、田川氏は「3000万人時代」の中で、航空、バス、鉄道、タクシー、宿泊など旅行業以外の業種の諸問題が更なる観光立国の足かせとなりつつある現状を指摘。現時点ではこうした「横軸での議論」が進んでいないことから、「問題提起をたくさんしていく必要がある」と語った。